ヤバすぎる「某100円回転寿司」の裏側 大手回転寿司チェーン2店を食べ比べてみた【後編】
セルフサービスの「瓶ビール」は論外。食のいちばんの土台「安全性」を軽視している
N君:ちょっと口直しに、ビールでも飲みましょうよ。仕事中なので我慢していましたが、もう限界です(笑)。この店は「セルフサービス」で、自分で飲み物を冷蔵庫から取ってくるシステムなんですね。
河岸:外食店でこういうのはダメだよ。店として論外。これは怒っていいと思う。
N君:えっ、なぜですか?
河岸:だって、グラスも一緒にセルフサービスで置いてあって、客が自由に取ってこれるでしょう。店は人件費の削減のためにやっているのだろうけど、悪意があれば誰でも簡単に、ほかの人が飲むグラスにイタズラできる。
N君:じゃあ、ファミレスのドリンクバーもダメってことですか?
河岸:ドリンクバーも本来はダメ。ただ、ファミレスのドリンクバーは 店員の目の届くところに設置してあるでしょ。でもこの店では、店員の目の届かないところに、ビールグラスなんかが管理されている。だから危ない。
N君:言われてみれば、そのとおりですね……。
河岸:この店は「安い」とか「おいしい」以前に、最低限の「安全性」の部分をきちんとやっていない。食べ物というのは「安全性」がいちばん下の土台にあって、その上に「おいしい」とか、体にいいといった「機能」が来るものだから。
N君:「おいしい」も「機能」も、すべて「安全性」という土台があってこそ、というわけですね。その点でいえば、そもそも回転寿司は「非常にお客さんを信用しているシステム」と言えますね。ビールグラスに限らなくても、目の前の皿にイタズラしようと思えば、簡単にできてしまうわけなので。
河岸:そうだね。その辺は回転寿司全体が抱えている問題だと思う。ただ、それは別にしても、やっぱり「食中毒」は飲食店が絶対に起こしてはいけないもので、この店はそれができていない。冒頭の話に戻るけど、汚れた厨房といい、ご飯粒が干からびている寿司レーンといい、手袋のままネタとレーンを交互に触っている従業員といい。安全教育がまったくなっていないよ。
N君:でも、100円均一なんだから、少しは大目に見てくださいよ(笑)。
河岸:「安さ」を追求するのはいいけど、何かを犠牲にして「安さ」を出すのは違うと思う。ましてそれが、飲食店では最も譲れない「安全性」を犠牲にしているのでは話にならない。
N君:まあそれはわかりますけど、でも、この店は安くて人気があって、これだけ混んでいますよ?
河岸:そこだよね。安いのは間違いない。だから、「シャリが仕入れ品」とか「イカが冷凍品」とか「鉄火巻きが本来廃棄すべき筋を使っている」とか、そういうのは全部、見逃すとしても、食中毒を起こしかねない「食の安全の欠陥」については、食を仕事にしている人間からすると、やっぱり看過できない。
N君:確かに、回転寿司は、小さい子どもと一緒に家族連れも大勢来ますよね……。小さい子どもやお年寄りは、食中毒になると命を落としかねないわけなので……。
河岸:それに、外国人がこんなにいっぱい入って「これが日本の寿司だ」と思って食べているのも哀しいよね。本来、寿司は日本が世界に誇る伝統食なのに、これを寿司だと思われたんじゃ泣けてくるね。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら