菅首相、不安だらけ「勝負の6月」を乗り切れるか 党首討論にG7、都議選と相次ぐ重大イベント
菅首相が思い描く「最善のシナリオ」は、期限直前の6月18日に宣言解除を決断し、五輪1カ月前の同23日前後に五輪開催と観客の有無を最終決定することだとされる。ただ、そのためには18日の時点で東京の感染状況が「ステージ3から2に近づいていることが必要」(政府諮問委員会の尾身茂会長)となる。
宣言再延長が決まった直後の週末は、好天に誘われたように都内の繁華街の人出は増えた。しかも、6月1日からの再延長期間は、東京のデパートなどへの休業や時短要請が一部緩和される。感染症専門家は「それによる感染状況への影響がわかるのは6月中旬以降」と指摘する。
初の党首討論、G7サミットに挑む菅首相
宣言解除のカギとされる新規感染者数の推移は、5月末時点では7日間平均で600人をわずかに下回る状況にとどまっている。これからの20日間で政府が期待する平均300人前後へ減少するかどうか微妙だ。
菅首相が感染対策の唯一の決め手と位置づけるワクチン接種もなお手探り状態だ。都内の医療関係者の間でも、菅首相が打ち出した「7月中の高齢者接種完了」の目標達成を困難視する向きが少なくない。
6月は内外での重要な政治日程が目白押しとなる。6月16日が会期末となる通常国会では、9日に党首討論が実施される。党首討論は2年ぶりで菅首相にとっては初の登壇となる。
合計45分と討論時間は短いが、立憲民主党の枝野幸男代表ら野党党首は会期末の内閣不信任決議案提出も視野に、菅首相を追い詰めようと手ぐすねを引く。各党首と1対1で対決するため、メモの棒読みやはぐらかし答弁を続ければ、国民の菅首相への不信感はさらに加速することは避けられない。
ここにきての世論調査では、内閣支持率が政権発足以来最低を記録し、不支持率は過去最高となっている。菅首相が党首討論でも逃げ続ければ、内閣支持率のさらなる下落につながる可能性が大きい。
この党首討論以上に菅首相の「五輪開催への関門」となりそうなのが6月11日から3日間の日程でイギリス南西部のコーンウォールで開催される先進国首脳会議(G7サミット)だ。菅首相にとってG7首脳と対面で渡り合うのは初めてで、10日に出発し、14日に帰国する。
今回のG7で国際的に注目されているのは、菅首相が各首脳に対し「東京五輪開催への具体的対策をどう説明するか」(外務省幹部)だ。2月のG7テレビ会議では「今夏に開催するという日本の決意を支持する」との首脳声明でまとまった。
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