菅首相、不安だらけ「勝負の6月」を乗り切れるか 党首討論にG7、都議選と相次ぐ重大イベント

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5月28日、9都道府県への緊急事態宣言などの延長を決め、記者会見する菅義偉首相(写真:時事)

緊急事態宣言の期限の再延長を余儀なくされ、菅義偉首相が「勝負の6月」を迎えようとしている。命運を懸けて突き進む東京五輪・パラリンピック開催への不透明感が増し、内外で中止論が一段と拡大しているからだ。

五輪開催の可否を決める国際オリンピック委員会(IOC)の幹部は「アルマゲドン(世界が破滅するような事態)以外は開催」とうそぶく。菅首相も、「安心安全の大会にする」「ワクチン接種加速化が決め手」と呪文のように繰り返すだけだ。

しかし、次々と現れるコロナ変異株への対応は手探りのままで、東京の新規感染者数の減少率も鈍化している。政府与党内では早くも再延長期限となる6月20日での宣言解除を困難視する声が出始めており、菅首相が背水の陣で挑むコロナ・五輪政局はなお予断を許さない。

内外で相次ぐ「五輪中止論」

政府がコロナ対策本部で宣言再延長を決めた5月28日夜。記者会見で五輪開催の具体的条件などを問い詰める記者団に対し、菅首相はこれまでと同様、無表情のまま答弁メモを棒読みして開催条件への言及を避けた。

会見はネット上でも生中継されたが、視聴者による画面への書き込みは「五輪ファーストで国民を巻き込むな」「日本はIOCの属国か」など激しい批判ばかり。これと並行して、海外の有力メディアからも五輪中止論が相次いだ。

そもそも、日本のコロナ対策への内外からの不信感は、国民の自粛頼りにみえる小出しでその場しのぎの対策と、宣言の期間設定をめぐる不透明さが招いたものだ。三度目となった今回の宣言も、当初は「短期集中の対応」を掲げたが、宣言延長後も期待された効果はなく、発令から約1カ月で再延長に追い込まれた。

再延長に当たり、政府部内では次の期限について「6月13日」「6月20日」「6月末」「7月4日」などの案が検討された。その中で菅首相が選択したのが6月20日までの20日間延長だった。

この選択について官邸周辺からも「五輪の1カ月前には宣言を解除しておきたい菅首相の意向を優先した結果」との声が出る。政界で「まさに五輪・菅ファーストで、国民の安全は後回し」(立憲民主党)との批判や反発が噴出したのも当然だ。

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