(第2回)「こんなに苦労している採用担当者」~採用担当者の本音をアンケートで聞く~(その1)

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●出会う学生への不満

それでは最初に、採用担当者が答えた採用満足度を見てみよう。

【図2】採用満足度
【図2】採用満足度
出所:文化放送キャリアパートナーズ就職情報研究所

文化放送キャリアパートナーズ就職情報研究所のデータによると、08年度の応募者の質について聞いたところ、人数、質ともに不満とする企業が37.8%と、前年07年度の28.8%から大幅に増えている(図2)。一方、ともに満足している企業は19.4%と前年の22.0%から若干のダウン、その前の06年の35.6%からは大きく落ちている。そこで採用担当者に学生の印象を聞くと、ネガティブなイメージが噴出する。良い印象はほとんど見られない。

まずは学力低下を嘆く声が目につく。
「ゆとり教育の弊害かと思われるが、非言語の偏差値があまりにも低い」(流通)
「自己主張が無い。会話力、文章作成能力の低下、基礎学力の低下」(サービス)
「高校生化」(サービス)
  前述したとおり、かつてであれば進学していないような人が大学生になっていること、ゆとり教育の問題などが理由として考えられる。特に男子学生への評価が厳しい。
「ゆとり教育の弊害かと思われるが、非言語の偏差値があまりにも低い」(流通)
「男子学生の質が良くない。女性のほうが積極的で優秀。売り手市場を実感しているのか、自分の実力を過大評価しているようだ」(流通)
  女性の社会進出で弱さばかりが取り上げられがちな最近の男性社会人、就職時にもその傾向は同じのようだ。

次に学生の無個性化、無気力化についても感想が多い。
「個性が無いのが個性といった感じ」(流通)
「働くということへの熱意や意欲が感じられない」(サービス)
「全体的に受身の学生が多い印象」(メーカー)
「のんびりしている。緊張感が無い」(流通)
「大人しく、飢餓感、野望が希薄」(サービス)
「全般的に意欲が乏しい。そのため企業研究、面接のレベルともに低いと感じた」(メーカー)
「無気力。就職活動をゲームと勘違いしている」(流通)
と評判はよろしくない。少子化、競争回避型の教育で、競争にもまれない温室育ちの学生が増えたところに就職環境が劇的に良くなったため、学生が無理に自分を取り繕おうとしなくなったのだろう。
「昨年以上に楽観ムードで自己分析不足、何となく就活をしている学生が多い気がする」(流通)
「自分自身に自信が持てないが、変なところにプライドの高さが見受けられる」(サービス)
「志望業界や企業の研究が数年前に比べると明らかに浅い」(メーカー)
と、売り手市場化での学生の気の緩みを指摘する声も多い。
こういった学生に対峙して、採用担当者は彼らの就職意識を高めさせながら採用活動を行わなければならないのである。
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