(第1回)中途採用を本格的に強化【旭化成】

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(第1回)中途採用を本格的に強化【旭化成】

 多角化企業として有名な旭化成。
おなじみの「イヒ」に加え、最近では福山雅治、柴咲コウ主演のテレビドラマ「ガリレオ」のCMでも話題です。

ここ1~2年、中途採用を本格的に開始し、新卒とともに採用規模が年間500人近くになっているとのこと。

今回は、人財・労務部採用グループ長の日比彰さんにお話をおうかがいし、旭化成の採用をマルハダカにします。

※会社/採用データは、インタビューの後に掲載しています。


日比 彰氏 --まずは採用人数からお聞かせください

旭化成はグループ採用をしています。
と言っても、本社が旭化成系列企業すべての採用を行っているわけではなく、中核7社(持株会社+6つの事業会社。後表参照)の採用窓口を一つにして行っています。

グループ全体での新卒の採用数は、2008年卒採用(2008年4月入社予定)で約345名です。事務系技術系は約半々です。

グループ全体での中途採用数は、2006年実績(2006年1年間)で約50名です。2007年(2007年1年間)は前年比倍増の100名の予定で、現在(10月末)80名程度が入社しています。

--中途採用が急激に増えていますね

中途採用を本格的に開始したのは2006年からです。 2005年実績は10人程度で、会社として人員計画に盛り込むというより、欠員補充の形でごく少数に過ぎませんでした。

それが、中期経営計画(2006年策定)で大きく成長への舵を切るという経営判断のもと、中途採用を計画的に行うことが決まったのです。

中期経営計画では、グローバル型事業の拡大、国内型企業の高付加価値化、新事業の創出などが柱となり、5年間で売上20%アップの1兆8000億円を達成するという目標を持っています。それを現状の人員だけで行うのは厳しいと考え、採用部門が中途採用の必要性を盛り込んだ人員計画を提出しました。

--日本の伝統的な企業では新卒中心主義はまだ根強いようです

長年新卒採用を中心にやってきましたので、すぐには意識を切り替えにくいことはあると思います。当社は95年に「ボーダレス採用」という先進的なコンセプトを打ち立て、国籍、新卒・既卒、出身大学、時期、 性別などに関係なく採用するという方針できましたが、中途採用の実績数は低い数字にとどまっていたわけです。

今回中途採用数を大幅に拡大しようという提案に対して、入社してもカルチャーが合わずうまくいかないのではないかという声もあったのですが、最終的には経営判断で全体採用数の20%程度を中途採用で行うことになりました。

新卒で採れないから中途で補うという考えは全くありません。現に新卒の採用数も増やしてきていますから。

--どのような職種で採用をされているのですか

各事業会社ごとの採用では、職種別に分けると研究開発系、生産技術系、MRの3種類でほとんどを占められています。他に知的財産、経理、人事などでも少数採用しています。
2006年の実績では、採用数の比率は、研究開発系4、生産技術系4、MR2という割合でしたが、2007年はMRの比率が高まり、研究開発系3、生産技術系2、MR5の割合で推移しています。

--中途採用の募集はどのようにして行っていますか

自社のキャリア採用ホームページ、転職サイトへの掲載、人材紹介の3つが中心で、応募者の比率は4:4:2です。最終的に採用にいたる確率は、自社の採用ホームページを見て応募してきた人が高いですね。理由は、他社と競合しないからです。私たちにまっすぐ向かって応募してくるので迷いが少ないのでしょう。転職サイトや人材紹介会社経由だと常に複数の中から選択されるので、自社採用ホームページに比べると確率が落ちるわけです。

最初苦労したのは、旭化成が中途採用をしているという事実がなかなか認知されなかったことです。そこで、様々なメディアに露出させました。今ではかなり認知され、自社の採用ホームページに1日20人程度の応募が来るようになっています。

応募者の傾向としては、研究開発系は同業の方が多く、生産技術系は自動車、電機業界の方など様々です。MRは未経験の営業の方が多いですね。

--中途採用の選考方法はどのように行っていますか

まず応募者の書類審査をします。この段階では絞り込みすぎず、可能性のある人に連絡し会社に来ていただきます。1次面接を人事部、2次面接を各事業会社の配属部署の担当者、そして最終面接を役員もしくは配属部門の責任者クラスが行います。最終的に内定を出す人数の10倍くらいの人と1次面接でお会いしています。

面接は一方的なものではなく、じっくりお互いが選び合う場という感じですね。距離をおかない席で互いに質問をぶつけ合います。大体1回の面接に1時間くらいはかかります。2次面接では、現場の人間が実際の仕事内容を事細かく説明し、本当にその人がやりたい仕事なのか、やれるスキルを持っているのかを互いに確認していきます。

その上で重視しているのは、“自分で何かをやりたい”という意欲です。「私がやりたいと言えばやらせてもらえますか」といった言葉を発する方には惹かれますね。

1次面接から最終面接の結果のお知らせまで、早くて1ヶ月、通常は2ヶ月くらいかかります。相手との面接日調整にはやはり時間がかかります。目下のテーマはこの期間を短縮し、決定までのスピードを上げることです。

--中途採用の成果はいかがですか

採用人数については冒頭申し上げたとおりほぼ予定通りです。

中途入社者が新しい風を呼び入れてくれることを期待していたのですが、受け入れた現場は刺激をかなり受けているようで、結果は期待していた以上です。既に中途採用はごく普通のこととして社内で受け入れられています。離職者もほとんどおらず、この2年間で1名のみです。

また、例えばMRで入社したある人は、製剤ごとではなくエリア全体を担当してもらうエリアマネジメント方式について、任されるところが大きくやりがいがあると言っています。現場と入社した人のお互いが良い刺激を与え合う関係になっているのではないでしょうか。

今後も全体採用数の20%程度を中途で採用していく予定です。
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