なぜなのか?
いつの間にか、本当にオシャレに興味がなくなったから?
むしろ服が嫌いになったとか?
毎日「ベストオブベスト」の服を着る幸せ
いや、そうじゃない。
私はハタと気付いたのだ。私にとっては間違いなく、今持っている10着の服こそが、最高にオシャレな服なのである。
なぜってこれは、山のようなお気に入りの服の中から、前回書いたとおりシビアな追試を重ね、厳選に厳選を重ね、その結果、最後まで生き残った「お気に入りオブお気に入り」、すなわち最強の戦士たちなんである。
色、形、風合い、着心地、どれを取っても文句ない精鋭。元の服の良さだけじゃなく、経験と時間というフルイにかけてこそたどり着くことのできた究極の10着。それを超える服なんて、ちょっとおしゃれな店を物色したくらいで現れるはずもないではないか。
そうだよ。私は服を減らしたからといって、決してオシャレを辞めた訳じゃなかったんだ。
それどころか、日々最高にオシャレな服だけを着て生活しているんである。人様からどう評価されようが関係ない。私にとっては間違いなく、これが現在の自分が到達できる「最高」の状態なんである。
いやいやいや、私、大丈夫だよ。落ち込む必要なんて全然なかったんだ。これでもう本当に、心から自信を持って、明日からも未来永劫、キラキラと生きていける!
……ということで、私は自信たっぷりの笑顔で堂々と答えた。
「はい。もう全く、新しい服を買いたいなんてちっとも思わないです!」
ああやりましたよ稲垣えみ子51歳(当時)!
洋服にバカスカお金をつぎ込みまくってウン十年。そしてついについに、自分でも全く予測しなかったまさかのこの境地、すなわちお金を全く使わずにオシャレを心から楽しむという新たなステージに到達したのである。
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