中学受験「全落ち」しかけた野球少年の怒涛の結末

単身赴任を選びながらも挑んだ親子の長い戦い

小学校低学年から打ち込んできた野球を続けさせたい--。そんな思いから中学受験の世界に足を踏み入れた親子が体験した怒濤の日々とは?(Fast&Slow / PIXTA)

首都圏ではまったく関わりがないという人の方が少ない中学受験。中学受験を目指す目的は家庭によって違うが、中には、好きなスポーツを続けるために中学受験を選択する家庭もある。

将来、プロ野球選手になりたいと語る都内在住の鈴木孝太郎くん(仮名・中学生)の家庭もスポーツを続けるために中学受験を選んだという。現在は6大学野球での活躍も期待できる大学付属校に通っている孝太郎くん。しかしそこに至るまでの道のりは、決して生やさしいものではなかった。

「転勤族」親子の大きな決断

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小学1年生当時、首都圏に住んでいた孝太郎くん。近くの公園で父親とキャッチボールをしていたところ、地元の野球チームの人から声をかけられ、チームに入ったのが、野球との出会いだった。

「野球をやってくれたことは嬉しかったです」と話すのは父親の知己さん(仮名)。知己さんも中学までは野球をしていたという経験者。高校に入ると「学業を選び、野球をあきらめてしまいました。続けたかったなぁという思いがありました」(知己さん)。

知己さんは会社勤めの転勤族。孝太郎くんが小学3年生になると、地方転勤が決まり、首都圏のチームを離れることになってしまった。しかし、運よく転居先でも素晴らしいチームに出会うことができた。少年野球の花形、リトルリーグのチームだ。

リトルリーグは、学年により参加できる試合が階級分けされていたが、リーグ戦を勝ち進むと全国大会があり、その先には世界大会がある。孝太郎くんは転校後、すぐにこのチームに所属、練習を重ね、レギュラー入りを果たした。4年生では全国大会に出場、だが、チームは一回戦であっけなく敗退してしまう。

「号泣でした。あんな息子の姿は始めて見たので、それだけ一生懸命に野球を頑張っていたんだなと、こちらも胸が熱くなりました」

”もう一度、全国の舞台に立たせ、リベンジさせてやりたい”。そんな親の気持ちが強くなるにつれ、気がかりなことがあった。知己さんの次の転勤だ。転勤族の家庭の多くは、子どもが高学年になるにつれ、進学のことを考え定住先を選びはじめる。鈴木家にも、決断の時期が迫ってきていた。

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