23区民が引越した「非」大都市トップ10ランキング 「23区内移動」と政令指定都市9市を除いて算出

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転入者の内訳で驚いたのが0-9歳の比率である。ここは外国人も含めた数値になるが、23区から軽井沢への転入者545人(外国人含む)のうち、0-9歳が111人で20.4%にもなっているのだ。子どもだけでは移住できないから、当然親の世代に当たる20代から40代にかけての転入者も多い。

20代 64人 (11.7%) 
30代 97人 (17.8%)
40代 107人(19.6%)

20~40代のトータルは268人。子どもたち世代の0-9歳代を合わせると379人で全体の70%を占めている。

背景に私立「幼小中混在校」の開校

どうもリゾートリモートワーク以外の理由がありそうだ。調べていくと、ある学校が2020年6月に開校していた。私立の「軽井沢風越学園」という、幼稚園と義務教育学校からなる「12年間の幼小中混在校」である。学校のHPには「幼稚園児・小学生・中学生がまざってあそび、学ぶことが、軽井沢風越学園の大きな特徴です」と記されている。

コロナ禍の影響で昨年4月の開校予定が6月にずれ込んだ。2021年4月1日現在の在籍数は、幼稚園69人、義務教育学校194人で、学園の敷地面積は約7万4000㎡(2万2424坪)と広大だ。

カリキュラムや運営方法がユニークで、かなり先進的な学校のようだ。学園の理事長は本城慎之介氏。楽天会長・社長の三木谷浩史氏と楽天を創業した人物だ。楽天では取締役副社長を務め、2005年の退社後には横浜市教育委員会の公募に応じて横浜市立中学校の校長を務めたこともある。東京学芸大学大学院教育学研究科 教育実践創成講座 准教授だった岩瀬直樹氏を誘い、軽井沢風越学園の設立にこぎつけた。

【2021年5月25日15時追記】初出時、岩瀬直樹氏の前職の記述について誤りがありましたので、上記のように修正しました。

それまで軽井沢町には私立の幼稚園2園と公立小学校3校、公立中学校が1校あるだけだった。それだけに新しい学園の開校が町に与えたインパクトは大きかった。

「町に移住されて来られる方が増えたのは、(リモートワークなど)コロナ禍の影響もありますが、風越学園の開校が移住のきっかけになったという声もあります。若い世代の住民が増えているのは間違いありません。人口が増えているのは中軽井沢、大日向、風越、追分など町の西側のエリアですね」(軽井沢町役場の関係者)

リゾート地でのリモートワークと新たな学園開校による相乗効果が東京からの移住者増をもたらしているようだ。

アフターコロナに向け、人々は試行錯誤を繰り返しながら新たなライスタイルの模索を続けている。東京にとどまるという選択もあれば、「脱東京」も選択肢のひとつ。逆に地方から東京へという思考もある。メディアが注目する「脱東京」に関しては、既に走り出した人がいるのは紛れもない事実だが、今のところ大きな潮流とはなっているとは言い難い。

コロナ禍の1年間で、東京都の日本人人口が結果的に増えた(都全体で7440人 23区で481人)ということは、多くの都民がコロナ禍の日常生活に耐えながらも東京にとどまり、今後のライフスタイルの方向性を熟慮しているということではないだろうか。 

山田 稔 ジャーナリスト

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やまだ みのる / Minoru Yamada

1960年生まれ。長野県出身。立命館大学卒業。日刊ゲンダイ編集部長、広告局次長を経て独立。編集工房レーヴ代表。経済、社会、地方関連記事を執筆。雑誌『ベストカー』に「数字の向こう側」を連載中。『酒と温泉を楽しむ!「B級」山歩き』『分煙社会のススメ。』(日本図書館協会選定図書)『驚きの日本一が「ふるさと」にあった』などの著作がある。編集工房レーヴのブログでは、最新の病状などを掲載中。最新刊は『60歳からの山と温泉』(世界書院)。

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