有名中高一貫校の不登校生が通う施設の持ち味

元校長らが支援、修学支援センターに集まる志

センターでの学習が在籍校での出席日数に加算される(筆者撮影)
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文部科学省が2019年10月に発した通知「不登校児童生徒への支援の在り方について」によれば、2018年時点での不登校の中学生は全国で約12万人、高校生は約5万3000人。同じく1000人当たりの不登校生徒数は、中学生36.5人、高校生16.3人。その"受け皿"となることが多い通信制高校の在籍者数は、直近2年連続で過去最高を更新している。

中高一貫校の場合でも、中学生のうちはなんとか進級させてもらえるが、高校進学時に他校受験を勧められるケースも多い。高校生になると学校が定める出席日数規定に足りない場合、留年あるいは自主退学を勧告されることになる。特に私立では、「うちは私立です。うちの校風が合わなければよそへお行きください」という理屈がまかり通りやすい。

しかし、「生徒を集めるだけ集めておいて、うまく行かなくなったら『よそへお行きください』では無責任だろう」と、神奈川県の私立中学高等学校協会(以下、協会)が動いた。県下の私立中高で校長や教頭を経験したベテラン教師たちに呼びかけて、2020年6月、「神奈川私学修学支援センター(以下、センター)」を開所したのだ。

有名私立中高一貫校の生徒たちが集まる

神奈川県私立中学高等学校協会の加盟校に在籍しながら不登校状態になっている生徒が、在籍校の代わりに"通学"し、現場を引退したベテラン教師たちから個別指導を受けられる"教室"が、協会の建物内にできた。学習指導を受けられるだけでなく、ここでの学習が在籍校での出席日数に加算され、在籍校によって単位にも換算されるしくみだ。

センター利用希望者は、学校を通じて利用を申し込む。学校から連絡を受けると、センター長の安宅克己さん自らが学校に出向き、担任や管理職と面談する。センターのしくみを説明し、学校のカリキュラムや使用している教材に至るまで事細かに聞き取りを行い、受け入れの準備をする。

2020年度は20人の中学生がセンターを利用し、3人が在籍校に戻った。4人が外部受験をして中学とは違う高校へ進んだ。13人がセンターへの通所を継続している。2021年4月現在のセンター利用者は、中学生22人、高校生11人。有名私立中高一貫校の生徒が圧倒的に多い。

センター運営費用は協会が負担している。利用者が支払うお金は、映像授業視聴のための年間4000円と、アクティビティを行う場合の実費のみ。

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