有名中高一貫校の不登校生が通う施設の持ち味 元校長らが支援、修学支援センターに集まる志

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2021年4月某日、センターを訪問した。始業時間の9時30分近くになっても生徒の数はまばらである。「誰が来て誰が来ないかは、毎日わかりません」と言いながら、安宅さんは慣れた様子で生徒たちを待つ。

来られる日、来られる時間に来てくれれば、いつでも歓迎する。朝1時間だけ勉強して帰るという生徒もいれば、お昼過ぎに来る生徒もいる。学校に通う日とセンターに通う日を曜日によって決めている生徒もいる。「学校に合わせるのではなく、子どもに合わせる」が基本スタンス。

一応時間割はある。中学生の履修内容は学校による違いが大きくないので、センターでの中学生の時間割はみな共通にしているが、高校生となると、学校のカリキュラムの差異が大きいので、1人ひとりにカスタマイズされた時間割を用意する。ただし、個別指導が基本なので、臨機応変に対応する。

センターで学べば在籍校で単位認定も

高校生の教室では、ホワイトボードを使って古文の指導が行われていた。古文の歴史的背景も踏まえながら、古文を学ぶ際の要点を体系化して説明してくれる。中学生の教室では、数学の指導が行われていた。例題を解説し、問題を解いてみる。その間ずっと先生が手元を見ていてくれる。

錚々たる経歴をもつベテラン教師たちが、これだけ丁寧に個別指導をしてくれるのなら、わからないわけがない。実際、この日ある中学生が取り組んでいた数学の内容は、学校よりも先に進んでいるという。

センターでの学習状況は毎月1回、在籍校に報告される。その報告をもとに、各学校で評価をつけ、校長の権限で単位認定する。在籍校の定期試験についてもセンターと学校の間で柔軟に対応する。

「その学校に憧れて、大変な中学受験勉強をして入ってきてくれたんだから、何かの巡り合わせで不登校になってしまったとしても、焦らずにここで勉強を進めながら、できることなら在籍校に戻っていってほしい。ここで在籍校の卒業証書を渡してやったっていいと思う。一度引き受けた生徒は、最後まで面倒を見る。それが神奈川私学だと言えるようにしていきたい」とは某校元校長。

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