有名中高一貫校の不登校生が通う施設の持ち味 元校長らが支援、修学支援センターに集まる志
センターを丸1日見学して最も印象的だったのは、安宅さんが非常にきめ細かに1人ひとりの生徒の状況を把握し、サポートしていることだ。
一般的な学校では、たとえば担任や教頭にいくら意欲があったとしても、不登校状態にある生徒1人ひとりにこれだけの手間暇をかけてかかわることは現実的に難しい。だからこそ、複数の学校のネットワークとして、セーフティーネットを提供することに大きな意味がある。
似たような取り組みは、福岡県と京都府にもある。福岡県私学協会の「学習支援センター」は高校生が対象で、現在、県内に4カ所もある。京都府私立中学高等学校連合会の「京都府私学修学支援相談センター」は、小学生から高校生までを対象としており、5教科について週1回の学習支援が受けられる。ちなみに、公立の教育支援センターは、全国の約6割の自治体に設置されており、文科省は設置の推進を呼びかけている。
希望者すべてを受け入れられないという課題
安宅さんは「現状のセンターのいちばんの課題は希望者全員を受け入れるキャパがないことです」と指摘する。受け入れられない子どもたちは、空きが出るのを自宅で待つしかない。それが切ない。また、センターが神奈川県東部にあるため、西湘エリア在住の生徒たちには通いづらい。「湘南エリアにもセンターをつくれると良いと思う」と安宅さん。
最後に、大事なポイントを押さえておきたいと思う。義務教育の中学校はもとより、高校であっても進級に必要な出席日数に対する法的な決まりはない。出席日数を根拠にして自主退学を迫られるケースがあるとすれば、その規定は学校が独自に決めたものである。そして、実際には学校に来られていない生徒でも、学校外で適切な学習指導が受けられていると校長が認めれば、学校として単位認定することはできる。
わが子が不登校になるかならないかにかかわらず、考えてみてほしい。「うちは私学ですから、うちの校風に合わないのならよそへお行きください」と言う学校と「いちど引き受けたからにはあらゆる手段を用いて最後まで面倒を見ます」と言う学校のどちらでわが子を育てたいか。そこにその人の教育観があぶり出されるはずだ。
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