豪州出身34歳の彼が京都でビール造りに励む訳 教師として来日したが気づけば夢を叶えていた

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教師仲間とはあまり付き合わなかったが、かわりにクラブやライブハウスでできた友達とよく遊んだ。

「滋賀県は本当に好きでしたね。琵琶湖湖畔で開催される野外フェスはすばらしくよかったですね。滋賀県に住む友達の家に遊びに行って、そこでもずいぶん日本語の勉強になりました」

トムさんは当時、日本国内で4つのバンド活動をしていた。

その過程で、茶葉を使ったクラフトビールを造っていた村岸秀和さん、現在の京都ビアラボの店長である横山大樹さんと出会った。

「4年前、みんなで飲みに行って話しました。すぐに『やらへんか!?』『やりましょう!!』という流れになりブリューパブを始めることになりました」

京都市外ならば大きい規模の醸造所を造れたかもしれないが、京都市内でお店を開きたいという思いがあった。

現在の場所はそもそも、シェアハウスのガレージとして使われていた。建物はあったものの、それ以外は何もない施設だった。

「造りにこだわってしまったので、想定していた予算の倍くらいかかってしまいました。とても丈夫な施設になったので、満足はしています。機械類は日本のメーカーに特注で作ってもらったモノもありますし、中国製の安い製品を輸入したモノもあります。機械だけでも400万~500万円かかりました」

トムさんとスタッフ(筆者撮影)

現在店内には、400リットルのタンクが3つ、200リットルのタンクが3つある。できたビールを樽に入れて貯蔵することができるので、フル稼働すれば月に4000リットル造ることが可能だ。

島根県などでクラフトビールを学ぶ

お店がオープンする前にトムさんは教師を辞め、いったんオーストラリアに帰国してクラフトビールの研究をすることにした。

「たくさんの『ホーム・ブルワリー・ショップ』を回って勉強しました。短期間に集中して研究をしてかなりスケールアップしました。

実際に醸造所へ行って研修させてもらいました。オーストラリアで研修した醸造所は、比較的大規模な施設ばかりだったので、日本に来て小規模な醸造所で研修もさせてもらいました。島根県江津市にある石見麦酒さんでの研修は非常に勉強になりました。感謝しています」

メニューの書かれた黒板(筆者撮影)

『石見麦酒』は9坪の小さなブルワリーで、地元の農産物を使いさまざまなクラフトビールを製造している。

提供されているビールのメニューは黒板に書かれているが、その横にはメダルがかかっている。『ジャパン・グレートビア・アワーズ』などのクラフトビールに与えられる賞を受賞したビールだ。

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