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豪州出身34歳の彼が京都でビール造りに励む訳 教師として来日したが気づけば夢を叶えていた

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  • 村田 らむ ライター、漫画家、カメラマン、イラストレーター
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壁際にはズラリと瓶が並んでいる。それぞれ、白黒で描かれたエッジの利いたデザインのラベルが貼られている。今までに、京都ビアラボで造られたビールだという。

今までに造られたビールの一部(筆者撮影)

「お店が始まって3年で提供したビールの数は100種類以上です。いちばんこだわるポイントは自分の舌ですね。何よりゴクゴクと気持ちよく飲めるビールを造りたいと思っています」

ビールのレシピは多くの人が研究していて、インターネットに載っている場合も多いという。

「ただいちばんの肝の部分は書いてない場合が多いですね。使っている3つの麦芽は書いてあるけど、その割合は書いていなかったり、熟成の時間が書いていなかったり、そんな感じです。ビールはそういう微妙な調整で、全然味が変わるんですよ。結局は、自分で研究してレシピを完成させるしかありません。

新鮮なホップ(筆者撮影)

また、原材料も年によって出来が変わります。2018年のホップと、2019年のホップは全然違うとかはよくあります」

ビール醸造には几帳面さが求められる。

成分比、醸造時間、冷蔵庫で保管する期間などで出来が全然変わってくる。

トムさんは、ビール愛飲家の中でも腕利きのブルワーとして知られている。

「醸造期間は造るビールによって違います。2週間~半年かけて造ります。中には1年以上熟成しているビールもあります。

時間をかけるとおいしくなるビールもあるし、逆にまずくなるビールもあります」

受賞メダル(筆者撮影)

1年間熟成させたビールは、アルコールのきつさがなくなり、麦芽の甘みが出てくる。まるでワインのような味わいのビールになる。市販ではなかなか飲むことができないビールだ。

看板になる『かぶせ茶ホワイトエール』も、当初とは造り方を変え、優しい味わいが出る方法を開発して提供しているという。

「お客さんにはビールオタクの人も多いですね。僕より詳しい人も来ますよ。『そこまで知らなくていいよ』って思うこともあります(笑)」

当初は苦戦したがテレビ放映を契機にブレイク

少し時間を巻き戻すが、研修を終えたトムさんたちは、満を持して『京都ビアラボ』をオープンした。

「やっとオープンできましたけど、半年間は全然お客さんが入らなかったですね。どうしようか困っていたのですが、そんなときにTBSのテレビ番組で取り上げられました」

テレビ番組で取り上げられてからは一気にお客さんがやってきた。

「お店が始まる前に、店の前に20人くらい並んでいました。オープンからクローズまで、ずっとお客さんが満員の状態でした。店の外で飲んでいるお客さんもいました」

検索サイトで『京都・ビール』で検索すると上位に表示されるので、見つけやすかった。また、ラグビーのワールドカップも重なったため、外国人のお客さんもたくさん来てくれるようになった。

そのような状態が1年半続いた。

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【繁盛しすぎて疲弊】

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