(第32回)【変わる人事編】2010年卒採用の異変。求人倍率1.62なのに最悪の就職内定率

●日経「大機小機」は就職内定率調査に疑問を呈する

 もうひとつ注意しておきたいのは今年2月1日段階の内定率80.0自体の精度だ。4月2日付日経新聞の「大機小機」というコラムに「疑問のある就職内定率調査」という寄稿記事が掲載された。内容は、
○文部科学省と厚生労働省から2月1日段階の就職内定率80.0が3月12日に発表された。これは前年同期を6.3ポイント下回っている。
○千葉労働局も同日付で同時期に県内32大学の卒業予定者の内定状況を発表した。これは前年同期を20.8ポイント下回る57.8%だった。
 80.0対57.8。だれもが不審に思うほど大きな差である。

 コラムによれば「昨年度の千葉県の就職状況は全国平均と大きな相違はない」。とすれば集計の仕方に問題があるのか。コラムは千葉労働局と文科省・厚労省の調査方法を確認している。
□千葉労働局 県内すべての大学からのヒアリング調査。
□文科省・厚労省 62大学(国立21、公立3、私立38)の中からランダムに抽出し電話・面接で調査。学生数は6200人余り。ただし大学だけでなく短大、高専、専門学校も含んでいる。→大学生の数は数千人程度と思われる。

 文科省・厚労省の調査では、対象大学があまりに少ないし、全大学の8割近くを占める私立の比率が低い。また卒業予定者は50万人をかなり超え、就職希望学生に限っても45万人。学生サンプル数が少なすぎるというのがコラムの主張だ。
 文科省では「過去の経験で全国推計値に大きなゆがみは観測されていない」と説明しているそうだ。

 確かに過去にゆがみはなかったのかもしれない。しかし80.0と57.8という大きな乖離を見ると、2010年卒に関しては大きなゆがみが起こっていると判断すべきではないかと思う。いったん発表された数字は一人歩きをしてしまうが、その数字を丸呑みするのではなくさまざまな観点から検証していく必要がある。

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