(第32回)【変わる人事編】2010年卒採用の異変。求人倍率1.62なのに最悪の就職内定率

●「秋採用」「通年採用」が閉ざされ、困惑するキャリアセンター

 2010年卒採用では学生の内定社数も減った。明治安田生命が今年2月後半に1000人の内定学生を対象に行った調査によれば、平均内定社数は1.73社。これまでの2社以上から急落した。また「1社」と答えた学生は59.8%。これも様変わりである。

 こんな厳しい就活事情を肌身に感じているのがキャリアセンターだろう。そこで昨年秋に5校のキャリアセンターをインタビューした。各校で共通していたのは前年同時期の内定率よりも約10ポイント落ちていることだった。そして採用の門戸が急に狭くなり、昨年までの「常識」が通用しないという嘆きが聞かれた。

 どういう「常識」があったかというと、まず採用時期がフレキシブルだった。いちばん大きなイベントはこれまで書いてきた採用活動の「春採用」だ。これに対して「秋採用」がある。大学院進学や公務員志望の学生は春採用のシーズンに就活することが困難なので、時期をずらして受け入れるのが秋採用だ。もう一つ「通年採用」という形態もあった。時期を問わず会いましょうというわけだ。

 これらの門戸が急に閉じたのが2010年卒採用だった。春採用のシーズンを過ぎると、表玄関は閉ざされてしまった。

 表玄関は閉ざされても道はある。キャリアセンターは採用・人事とたくさんのパイプを持っているので、例年ならなんとか押し込むことができた。ところがそういうルートも閉ざされることが多くなったという。
 たぶん経営環境が不透明なので、人事の判断で機転を働かせることができなくなったということなのだろう。

 2010年卒採用の内定率が低い理由はもう一つ考えられる。求人倍率は4月に発表されているから、企業に対するアンケート調査は2月ごろに行われたはずだ。しかし昨年2月の経済環境で今年4月の採用数を正しく答えられる企業があったのかどうか。これまでなら計画と実際の採用数はほぼ一致していたが、2010年卒に関して外れていたのではないかと思う。

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