--新卒の採用スケジュールをお聞かせいただけますか
プレエントリーした約2/5の学生さんが12月と2~3月に実施する大規模な自社セミナーに参加されます。選考に進まれる方も同数程度ですが、セミナー参加者から1/4くらいの顔ぶれが入れ替わっています。その後に全国型はエントリーシートとwebテスト(適性)で、地域型は筆記テストとwebテスト(適性)で総合的に判断し選考します。面接を受けることができるのは3/4程度の方でしょうか。それでも面接規模は1万人を超える水準です。時期としては、全国型は4月が天王山、地域型は5月半ばまで継続しています。
--面接のスタイルを教えてください
一次面接から1対1、会う時は20~30分の時間を割いてじっくり話すスタイルです。個人面接は最低3回、複数の社員の視点を入れることによって評価を立体的にします。また、逆面接(学生が社員に質問する形式)を取り入れていることも特徴です。言葉の順序を逆さにして、配属や志望度をイメージしながら面接をすることで初めて見えてくる部分は大きいですね。
--大量の学生と短期間に質の高い面接をするためにどのような工夫をされていますか
コンピテンシー面接を導入していることです。2001年度から取り入れましたので、当社の場合、コンピテンシーという概念の導入については考課より採用領域が先でした。選考時には大量の面接者を社内から動員しますので、面接者ごとの主観によるバイアスを排除する必要があります。多層的に構造化された質問を用いて、学生さんの過去の行動事実を掘り下げ、コンピテンシーを推し量ることでブレを無くすよう努めています。
--第二新卒にも採用の門戸を開かれています。
第二新卒については、2004年度から定例的に採用しています。人数は限定していませんので年によってバラツキがありますが、全国型では数名程度で推移しています。背景としては、第二新卒として一定のマーケットが存在していることと、新卒グループのバラエティ拡大の一環です。バックグランドが色々とあった方が同世代の刺激になると判断したのです。したがって、第二新卒は新卒と同様、入社後は4月1日から一緒に研修を受けていただきます。
--キャリア採用もはじめられていますね
変化が激しい現代において企業の成長戦略を達成しなければならないなかで、かつては考えられなかったような事業展開も発生しています。そういった背景の中で、新卒中心に採って育てるだけでは人の成長が企業の成長スピードについていかず、ビジネスの機会喪失につながってしまいます。総合的に判断した結果、特定の領域で経験や実績を積んできた人材の採用をオープンに、かつ年に一回定期的にやってみようと人事政策の舵を切った訳です。
--実際にやってみていかがでしたか
最初なので、若干のリサーチ的な意味合いもありました。当社がキャリア採用にトライすると、どのような人がどのようなルートで応募いただけるのか、非常に興味を持って取り組んだのは事実です。
法務・財務・数理系のアクチュアリー・海外事業関係といった職種に限定し、ポジションにマッチする人がいれば全員採用するという方針を持ってトライしました。その結果、これらのカテゴリーでキャリアを持つ人材にも、流動性があることがわかりました。
--外国人の採用についてはいかがでしょうか
グループ会社のナショナルスタッフとしての実績は多いのですが、当社に限定すれば残念ながら、あまり実績がありません。研究職などと違い対人折衝が欠かせないことから、言語レベルのハードルが高く、積極的にアプライしにくいような印象を受けています。ただし、決して門戸を閉ざしたり、諦めたりしている訳ではないので、知らしめるための活動は継続しています。特に海外で実施されるキャリアフォーラム(海外大学に在籍する学生向けの就職イベント)は、選考機会のみならず、世界トップレベルの企業の採用スタイルや考え方を知る機会としても重視しています。
--女性の再雇用についても実績がありますね
手前味噌な話かもしれませんが、当社が1988年度から20年に亘って地道に取り組んでいる分野です。時期的には第二新卒と同じタイミングで年に1回、あとは急な要員補充が発生した時に不定期に実施しています。累計で100人近くの実績があります。様々な人生経験をした人が再び戻ってきて「本当にいい会社だ」と言ってくれる。職場にもいい影響が出ていると思います。また、多くの採用実績があるのは、やはり新卒時点でキャリア志向の女性を採用していたという土壌と無縁ではないと思います。事実、結婚している社員が女性社員全体の25%にあたる約1800人。そのうちで産後に職場復帰した社員が65%にあたる約1200人となっています。この存在は大きいと思いますね。
--女性再雇用の人数の目標を設定されているのですか
再雇用といっても、オールウェルカムの制度ではなくきちんと選考しています。これは採用全体について言えることですが、採用予定数は意識するものの、応募者の中での相対値ではなく、当社が考える採用基準での絶対水準が優先されます。「人数確保のために基準を変える」といった考え方とは、まったく対極にある方針をとっています。
トピックボードAD
有料会員限定記事
キャリア・教育の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【日経平均30万円予想の根拠と注目の投資テーマ】日本企業は絶好調/改善度合いはまだ2合目/半導体が追い風/ポイントはインフレ/備えるべき地政学リスク/中国経済の行方【ニュース解説】
【過半数割れの石破首相に退陣要求?】総選挙の総括/裏金議員への対応の是非/党支部へ「2000万円支給」の影響/野党の代表を首班指名の現実味【青山和弘の政治の見方(小林鷹之)】
【どうなるアメリカ】ハリスは「虚像」/根底にある上下の分断/多様性が生んだ闘争/トランプが国民に見せている夢/中国・ロシアへの影響は/バイデン政権とは何だったのか/日米関係の行方【ニュース解説】
【為替はどうなる?】2016年との違い/トランプ氏の政策が及ぼす影響/足元の円安は投機的トレードが原因/自動車への追加関税で揺さぶられる懸念/石破政権がトランプ氏に主張すべきこと【ニュース解説】
キャリア・教育
アクセスランキング
アクセスランキング
- 1時間
- 24時間
- 週間
- 月間
- シェア
※過去1ヶ月以内の記事が対象
※過去1ヵ月以内の記事が対象
※過去1ヵ月以内の記事が対象
※過去1ヵ月以内の記事が対象
会員記事アクセスランキング
- 1時間
- 24時間
- 週間
- 月間
※過去1ヵ月以内の会員記事が対象
※過去1ヵ月以内の会員記事が対象
※過去1ヵ月以内の会員記事が対象
トレンドウォッチAD
週刊東洋経済の最新号
- 新刊
- ランキング
無料会員登録はこちら
ログインはこちら