低迷の「いきなり!ステーキ」、社長が語った悔恨 いつしか顧客より利益優先に、「原点回帰」狙う

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敗因を分析すると、「過剰出店」と「顧客優先から利益優先になったこと」が大きい。出店数については、「イケイケどんどん」で出しすぎた。2018年は年間200店強のペースで、1日5店舗出した日もあった。

当時は、新店を出せば1日100万円の売り上げがあった。だからこそ、業者は物件をどんどん斡旋してくれたし、銀行融資も存分に受けられた。今なら絶対に出さないようなエリアにも出したが、案の定、そういう店からすぐダメになった。ぜいたくな話だが、あのとき、私を止めてくれる人がいればよかったなと、今になって思う。

顧客離れが起きたことによって、採算改善のためにどんどん値上げをした。1グラム1円の値上げでも、300グラムなら300円になる。こんなこと、他チェーンでやっているところはないだろう(笑)。値上げしたらさらに客足は遠のき、利益のためにまた値上げするという悪循環に陥った。

――2020年12月期の純損失は39億円。3期連続の最終赤字と、経営的にはかなり追い込まれました。

株価もどんどん下がって、時価総額も減って。資金繰りも一気に厳しくなった。大切にしていた社員の希望退職にも踏み切った。雇用を守りたかったが、決行しなければこの会社はもたなかった。社名にもなっているペッパーランチ事業も売却することになった。もし売却していなかったから、今こうしていられない。

ペッパーランチは「よく85億円で売れたなと」

――ほかに選択肢がなかったということでしょうか。

経営再建の過程を振り返る一瀬社長(撮影:今祥雄)

そう。いきなり!ステーキの買い手を探したことはなかったけれど、(当時の状態では)買ってくれる人がいなかっただろうし、売りようがなかった。幸いにしてペッパーランチがほしいというファンドは現れたし、とにかく時間がなかった。

早くしなければ、銀行に(返済などで)もっと厳しい対応をされていただろう。にしても、ペッパーランチはよく85億円で売れたなと思うね。

――ペッパーランチはJ-STAR社に売却しましたが、MSワラントの割当先には、アドバンテッジパートナーズ系列の別ファンドを選びました。

役割分担上、私は会議に参加していないし自らの意思で選んだということではないが、(当時)お声がけをいただき本当に恵まれているなと思った。もちろんインサイダーに抵触するので、ワラントによる資金援助をしていただいているだけで経営指導や口出しなどの介入は一切ない。

――債務超過はかろうじて解消されましたが、本業では赤字が続き、MSワラントの行使でキャッシュの注入が行われている不健全な状況です。足元では緊急事態宣言の影響もくすぶりますが、4期ぶりの純利益計上という計画は達成できますか。

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