低迷の「いきなり!ステーキ」、社長が語った悔恨 いつしか顧客より利益優先に、「原点回帰」狙う

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感染拡大やワクチン接種の状況次第で今後も営業自粛要請などが繰り返される恐れもあるが、予算達成はできるように最善を尽くす。コロナで店舗の業績回復に時間を要しているが、(大幅値下げなど)現在行っている取り組みがコロナ収束後の業績回復要因になると考えている。

――反転攻勢の策として、キッチンカービジネスにも注力しています。

キッチンカーだと初期投資が400万~500万円で済むし、その後の家賃もかからない。大型商業施設などで実験的にキッチンカーを出したときには、日商平日7万円、土日は15万円程度の実績だった。老人ホームからお声がけいただいたときには1日に約50人前が売れた。

キッチンカーをやるうえで課題になるのが調理場の狭さだが、うちには全国にいきなり!ステーキの店舗がある。そこをサテライト拠点にすれば、フランチャイズで展開もできるのではないかと思っている。

「から揚げ業態」3カ月で撤退の理由

――キッチンカーのフランチャイズは聞いたことがありません。課題はないのでしょうか。

キッチンカーを個人でやるうえでのハードルは「何を」「どこで」やるのかという点だ。この点、いきなり!ステーキの知名度は高いので、「何を」の部分はクリアされている。あとは、どこでやるのかが目先の課題。だからこそ、さまざまな出店パターンを見極めているところだ。

例えば、ランチで5万~10万円売ったあと、タワーマンションの下で夕飯時を狙うとか、いろいろなことを考えている。キッチンカーを展開する場所とFCオーナーの教育、そして車を提供することができれば、FC展開も簡単にできるのではないか。

――いきなり!ステーキ事業では新施策が動き始めた一方、新業態として2021年1月に投入したから揚げ業態「からあげ くに」はたった3カ月で閉めました。

美味しいから売れると思ったが、やはりから揚げ市場はレッドオーシャンだった。敗因を挙げるなら、商品に「いきなりらしさ」がなかったこと。目新しいことはどんどん行っていきたいけれど、ひとまずは選択と集中。原点回帰を意識すれば、いきなり!ステーキは必ず復活するよ。

東洋経済プラスの連載「崖っぷちの外食」では、コロナ禍で苦境にあえぐ外食業界にまつわる課題を取り上げています。以下の記事が無料でお読みいただけます。

・インタビュー/ロイヤルホールディングス 菊地唯夫会長
・インタビュー/ワンダーテーブル 秋元巳智雄社長
・経営悪化度ランキング①/「売り上げ半減企業が約20社も」
・経営悪化度ランキング②/「外食企業の多くが自己資本を失った」
・「第4波」直撃の大阪、飲食店に広がる阿鼻叫喚

中尾 謙介 東洋経済 記者

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なかお・けんすけ

1998年大阪府生まれ。現在は「会社四季報」編集部に在籍しつつ水産業界を担当。辛い四季報校了を終えた後に食べる「すし」が世界で1番美味しい。好きなネタはウニとカワハギ。

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