低迷の「いきなり!ステーキ」、社長が語った悔恨

いつしか顧客より利益優先に、「原点回帰」狙う

「率」でいうとそうだが、粗利の「額」は値下げによってむしろ上がった。例えば、800円で原価率50%の商品の場合、粗利額は400円。一方、2000円のステーキが原価率60%の場合、粗利額は800円であり、こちらのほうが大きい。

これまでは、「ワイルドステーキ」を筆頭に低価格商品ばかりが売れる傾向にあったが、(リブロースやサーロインなどの)ロイン系ステーキの大幅値下げに踏み切ったことで、低価格商品を注文していた顧客の一部が高単価なメニューに流れた。これによってまず「客単価」が上がった。

また値下げによって、かつていきなり!ステーキのヘビーユーザーだった顧客も戻ってきてくれ、「客数」も増えた。値下げで客単価・客数ともに増やし、粗利額も大きくする。これが「ビビット作戦」の狙いだ。

――今後はどうしますか。

10店舗での値下げ実験が好評だったので、4月10日以降は対象店舗数を35店にまで増やした。ロードサイドやフードコートなどいろんな立地で実験しており、手応え次第で(一斉値下げに)舵を切るか見極めたい。

(値下げによって得られた)いい流れを止めたくないし、期限を定めて全店導入することも視野には入れている。

批判された「肉マイレージ」の見直しも検討

――国内家具大手ニトリホールディングスが、「ニトリダイニング みんなのグリル」というレストラン業態の実験を開始しました。看板メニューのチキンステーキは税込500円と破格です。

一瀬邦夫(いちのせ くにお)/1942年生まれ。山王ホテルの調理場勤務などを経て、1985年くに(現ペッパーフードサービス)設立、社長に就任(撮影:今祥雄)

ニトリさんは、うちの直接的なライバルにはならない、むしろ「ステーキガスト」みたいな(低価格かつファミレス型の)肉業態の競合になるのではないか。

うちの強みは、ファミレスのような「居心地のよさ」を追求しない代わりに、高品質な牛肉を厚切りで、それも思い切った値段で提供するという点だ。こうした「いきなりらしさ」が存分に発揮されていた「原点」に立ち返ることが大切だと改めて気づかされた。

原点回帰という意味では、顧客からたくさん批判をいただいた「肉マイレージ」(食べた肉の量に応じてメリットが受けられる会員制度)に関しても、会員のランクが下がらないようにするとか、還元策をよりよいものにするとか、さまざま検討している。

――原点はよかったにもかかわらず、どうしてその原点を見失い経営が傾いていったのでしょうか。

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