達観している様子の博さん。筆者と同い年なので、少し突っ込んだ質問をさせてもらおう。学校教師という仕事に心血を注いでいる博さんは自分の子どももほしいのではないだろうか。子どもがいない状態は幸せ度に影響しないのか。
「子どもはほしいと思っていますが、不妊治療を行うことは妻が嫌がっているので無理はしないつもりです。子どもがいないからといって幸せ度に影響は出ません。とにかく6年前の状況がひどかったです。それに比べれば、今は天国ですね」
幸せ度200点の加藤弘子さん
もう1人の「幸せ倍増」晩婚さんである加藤弘子さん(仮名、54歳)も6年前は夫婦間に懸念事項を抱えていた。10歳年上の夫である修さん(仮名)の「前の家族」に関することだ。とくに、結婚しても経済的に修さんに依存しようする長女に対して、弘子さんは冷たい視線を隠さなかった。
それが今では幸福度が倍になったのはなぜか。最大の理由は、長女などへの経済的負担が気にならないほど自分自身が出世し、夫はそれをサポートしてくれていることだ。
「5年前から外資系企業のトップを務めています。業績も順調で、組織も大きくなり、若い社員たちとやりがいのある仕事に取り組めているうえ、待遇も大幅にアップしました。夫は大手企業を早期退職し、世界の名峰を登山三昧。趣味のウィンドサーフィンとクライミングにはほぼ毎日出かけつつ、専業主夫として私の生活をサポートしてくれています」
さらに、夫の長女と次女は「精神的に大人」になり、それぞれの自宅に弘子さんと修さんを招いてくれた。
「主人だけでなく私も、彼女らやその配偶者との良好な関係を築くことができました。子どもの頃やっていたスキーを、スキーが大好きな主人の影響で再開。毎シーズン、海外も含めたスキー旅行に出かけています」
コロナ禍が始まった昨年、東京23区内から関東地方の郊外へと転居。海と山に近い広々とした邸宅で、自分は快適にリモートワーク、夫はマリンスポーツと登山三昧、だという。
「広い家に移り、夫の娘たちにも長くいてもらえる環境を作ったことに主人は満足したようです。私のアイデア、決断力、経済力に感謝していると、ますます私の仕事と生活をサポートしてくれています」
弘子さんは「嫌みなまでの自慢、ですね」と笑いつつ、いよいよ老いてきた双方の親の介護問題などにも向き合っていると明かす。でも、「前よりもっと幸せだな」と思いながら暮らしている。
ここまでの3人には共通点がある。結婚もしくは婚約当初に大きな不満や課題を抱えていたことだ。その解消によって幸せを強く感じているのだろう。幸福度とは相対的なものなのだ。
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