新婚夫婦｢6年後の幸福度｣追跡でわかった真実 当時想像できなかった､夫婦関係の大変化

同じように平穏な家庭生活を送っている次の3人は、120点もしくは100点という控えめな点数を報告してくれた。6年前からほぼ変わらずに幸福に過ごしているようだ。

他界した両親がのこした海辺の実家に住み続けてきた沢口久美子さん（仮名、45歳）は、結婚したら別の場所に住んで、大事な実家には時々掃除に来ることを覚悟していた。しかし、結婚相手である徹さん（仮名、41歳）はその実家に2人で住むことを逆提案。釣り好きなので海に心ひかれたようだ。翌年には長男を授かり、慣れ親しんだ土地と家で専業主婦として穏やかに暮らしている。

「今回のお話をいただいたとき、今の幸福度は120点だと頭に浮かびました。6年前も幸せでしたが、今のほうが確実に心穏やかに過ごさせてもらっているからです」

頭痛持ちの久美子さん。家事ができずに横になっていると、仕事を終えた徹さんは家事をしつつ「温かいうどんなら食べられる？」と声をかけてくれる。相変わらず自立していて心優しい夫なのだ。

「夫はコロナでテレワークになり、ほぼ毎日家にいます。主婦仲間からは『大丈夫？』と心配されるけれど、私は最高のしゃべり相手がいるので楽しいです。亭主元気で留守がいい、という気持ちはありません。うちの夫婦は個で動くことも問題はなく、軽く報告すれば『了解です』と言い合うだけ。夫もよく船を出して釣りに行っていますし、私も今日のようにランチに出かけられます」

小学生になった息子にとっては父親の役割がますます大きくなっている。大好きな釣りを我慢してでも息子との時間を大事にしている徹さんに感謝していると久美子さんは明かす。

「息子は外遊びが好きで、サッカーをしたりラジコンで遊んだりカブトムシやアメリカザリガニを捕まえに行ったり。私では限界があります。夫は息子が喜ぶポイントを押さえつつ、優しく導いてあげているみたいです。話しかけ方でもわかります」

幸せ度120点の原田真紀子さん

もう1人の120点は、前夫による手ひどい仕打ちを経て離婚をした経験がある原田真紀子さん（仮名、51歳）。独身一人暮らしに戻って元気になり、近所のバーに通い始めた。そこで意気投合した一回り年下の剛さん（仮名）と付き合って同棲を始めたら妊娠が発覚。残念ながら流産をしてしまったが、妊娠を機に剛さんとの「縁」を感じて結婚した。

「幸福度はちょっとアップの120点でお願いします。あれから6年経ちましたが、住んでいる場所もお互いの仕事も大きな変化はなく、平穏な日々が続いているからです。夫の両親も変わらずよくしてくれています。そのありがたみを忘れかけていましたが、6年前の記事を読み直して『今年の母の日・父の日は、プレゼントをランクアップして感謝を伝えなくては』と思いました」

本連載の記事が家族円満の役に立ったのであれば嬉しい。しかし、変化がないのであれば100点と回答するはずだ。真紀子さんはなぜ20点アップとしたのだろうか。

「夫とは日々小さなケンカはありますが、言いたいことを言い合いつつ信頼を積み重ねてきた実感はあります。でも、元は他人同士だったことを忘れずに、夫に対して余裕と思いやりを持っていたいです。こんなふうに感じるのは離婚経験があるからかもしれませんね。6年間、地味にちょっとずつ幸福を足してきた感じがするので120点ぐらいかな？と思いました」

真紀子さんが「地味」ならば、もはや「土」そのものになったかのような人物がいる。結婚して2人の娘を授かってからは、自分の時間とエネルギーのすべてを家族に捧げている鈴木恭一さん（仮名、54歳）だ。