三菱UFJと住商が直面する「脱炭素」株主提案 2020年のみずほに続き、NGOが定款変更を要求
環境NGOが機関投資家と連携し、大手金融機関や大手エネルギー関連企業に対する脱炭素化の働きかけを世界規模で強めている。
日本では3月26日、環境NGO「気候ネットワーク」のほか、国際的な環境NGOに所属する三菱UFJフィナンシャル・グループの個人株主3人が、気候変動に関するパリ協定の目標に沿った投融資計画を策定・開示するよう求める株主提案を同社に提出した。
定款に脱炭素化の方針明記を
三菱UFJに株主提案したオーストラリアの環境NGOに所属する個人株主は同日、住友商事にも株主提案を送付。同社の石炭や石油、ガス関連事業資産や事業の規模を減らすべく、パリ協定の目標に沿った新たな事業戦略の策定や情報開示を求めている。三菱UFJ、住商のいずれに対しても、脱炭素化の方針を定款に盛り込むことを求めている。
三菱UFJに株主提案を提出したのは、気候ネットワークのほか、オーストラリアの環境NGO「マーケット・フォース」とアメリカの環境NGO「レインフォレスト・アクション・ネットワーク」(RAN)、「350.org」の日本組織に所属する個人株主ら。住商にはマーケット・フォースの個人株主が株主提案した。
イギリスやアメリカでは、NGOによる気候変動問題に関する株主提案が急増している。そして、機関投資家がその提案に賛同し、株主提案が可決・成立したり、提案をきっかけに会社と新たな合意を結ぶケースも相次いでいる。
イギリスの大手銀行HSBCは3月11日、気候変動問題に関してより踏み込んだ対応策を5月の株主総会で発表すると明らかにした。これを踏まえ、同社に株主提案していた環境NGOが提案を撤回。HSBCの対応策を支持すると表明した。
HSBCは、パリ協定を踏まえた脱炭素化に関する目標に従い、2021年の年次報告書から年度ごとの温室効果ガス削減の進捗状況を開示する。また、EUとOECD加盟国において、石炭火力発電や一般炭採掘向け融資を2030年までにゼロに、それ以外の国についても2040年までにゼロにすると公約した。
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