三菱UFJと住商が直面する「脱炭素」株主提案 2020年のみずほに続き、NGOが定款変更を要求
アメリカでも2021年初めの数カ月だけで30件を超える株主提案が出されている。JPモルガン・チェースやウェルズ・ファーゴ、バンク・オブ・アメリカなどの大手銀行は、二酸化炭素など温室効果ガス排出量の測定や開示などの要求を受け入れると表明。株主側は提案を取り下げている。
環境NGOによる圧力は日本の大手銀行や大手商社にも及んでいる。気候ネットワークは2020年、みずほフィナンシャルグループに株主提案を行った。2021年は三菱UFJに株主提案を提出し、投融資の脱炭素化に向けて踏み込んだ対応を求めている。大手商社の中では住商が初めてターゲットになった。
みずほでは3分の1超の賛同を獲得
三菱UFJと住商に対し、NGO株主はパリ協定に沿った経営戦略を立てるよう定款の変更を求めている。定款変更を求める理由について、マーケット・フォースは「日本の会社法では、株主が提案権を有するのは議決権を行使できる事項に限られる。議決権を行使できるのは、会社法または対象企業の定款に定められた株主総会決議事項に限定されているため」としている。それゆえ、定款を変更しないと要求を実現できない。
2020年の株主総会で定款変更を求められたみずほは、「会社の目的、名称や商号等を定める定款本来の位置づけ等に照らして不適切」などとして株主提案に反対を表明した。しかし、株主提案は34.5%の賛同を獲得。金融界に大きな衝撃が走った。
みずほの株主総会で、カリフォルニア州職員退職年金基金(CalPERS)やBNPパリバ・アセットマネジメントのほか、野村アセットマネジメントやニッセイアセットマネジメントなどが株主提案に賛成票を投じた。
今回、三菱UFJに株主提案した理由について、気候ネットワークの平田仁子理事は「(三菱UFJの)化石燃料関連への投融資がパリ協定で必要とされる削減の道筋と整合していない。これまで対話を続けてきたが、三菱UFJが整合した方針を設定する確証を得られなかったため、株主提案という方法を提起した」という。
また、RANの川上豊幸日本代表も、「当団体などが3月24日付で発表した『化石燃料ファイナンス成績表』によれば、パリ協定採択後の化石燃料産業への融資額に関して三菱UFJは世界6位、アジアの金融機関としては最も多い結果になった」という。
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