「ワクチンはいつ届くのか」医療現場の悲痛な声 世界の中でなぜ日本は遅れをとっているのか

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イスラエルやUAE同様、未承認のワクチンを積極的に買いに行った。より多様なワクチンをいち早く確保することで、入手できないリスクのみならず、ワクチンの有効性・安全性のリスクも併せて分散させたのだ。

チリが世界の各メーカーの第3相臨床試験でホストを務めていたことも、数量の確保において大きな交渉カードになったと見られる。

こうしてチリが「どこからでも、誰からでもワクチンを購入する」姿勢を貫けたのは、いわば「依存しない」「とらわれない」ワクチン外交を展開したことが大きいという。「チリは地政学的にあえてどこにも与しないことに決めたのです」と、アメリカ・テュレーン大学のカストロ教授は解説する。

もし別の国や企業がワクチンを製造していたとしても、チリはそれを受け入れていた。「最も重要なことの1つは、政治的配慮が交渉材料にされなかったことです。決して」と、チリ保健省のダザ副大臣も強調した。「問われたのは科学であり、技術でした」。

国家予防接種プログラムを整備

そうして実際、チリは膨大な量のワクチンを各社から譲り受ける約束を取り付けた。

3月1日の時点で、政府は中国シノバックと1400万回分の確保を合意し、すでに1000万回分近くを受け取っているという。ファイザーとも1000万回分(うち約70万回分を受領)。アストラゼネカからは最大400万回分、ジョンソン・エンド・ジョンソンとも最大400万回分の1回接種ワクチンについて合意している。

さらに臨床試験等を通じた貢献の見返りとして、COVAXからも760万回分の提供が見込まれている。単純計算で2回接種ワクチン1780万人分、1回接種ワクチン400万人分のワクチンを入手できる予定、ということだ。チリの人口のほとんどをカバーしている。

チリはさらに、ロシアのスプートニクVや、中国系カナダメーカーのカンシノ・バイオロジクスとも交渉中だという。

こうして入手したワクチンを、遅滞なく国民に接種できていることも重要だ。

チリでは、1800年代後半の天然痘撲滅への取り組み以来、国家予防接種プログラムが整備されてきた。1980年代からの季節性インフルエンザと併せ、自然災害などの有事における迅速な予防接種キャンペーンの展開も訓練されてきたという。

予防接種スケジュールは保健省が統一的に組み、住んでいる地域などを問わず、年齢や基礎疾患ごとに指定される。例えば、「3月10日(水):基礎疾患または重度の障害のある54・55歳の人」「3月11日(木):50~53歳の複数疾患のある人」などだ。

それを可能にしているのが、イスラエル同様、国全体で一元管理されている予防接種登録だ。

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