ワクチンが医療従事者に届かない。4月半ばには高齢者への接種開始も予定されているというのに、本当に間に合うのか。それが今の日本の医療現場の素朴な、しかし切実な疑問だ。
厚労省の発表によれば、国内では4月2日までに109万6698回の接種が行われたという。医療従事者だけでも480万人いるというのに、単純計算でもいまだ4分の1しかカバーできていない(2回接種なので実際にはもっと少ない)。
ナビタスクリニックも順番待ちをしている医療機関の1つだ。新型コロナワクチン接種の実施機関として手を挙げ、PCR検査も行っており、スタッフへの接種は必須だ。だが行政からの連絡はまだない。皆丸腰で、日々診療を続けている。
世界中でワクチンの争奪戦が起きている
早くから懸念されていた通り、世界中で新型コロナワクチンの争奪戦が起きている。
英国NPOの統計サイト「Our World in Data」のデータ(3月27日付)によれば、世界全体ではこれまでに累計約5億4105万回の接種が行われた。内訳では上位からアメリカが約1.4億回、中国が約1億回、英国が約3302万回(3月26日時点)、ブラジル約1752万回、インドネシア約1043万回となっている。
世界に先駆けて英国で接種が開始されたのが昨年12月のこと。世界累計で2億回を超えたと報じられたのが、約2カ月半後の2月20日だった(AFP通信)。そこから1カ月余りで1.7倍以上の3.4億回が上乗せされたが、よくよく見れば米中英の3カ国で世界全体の半分のワクチンを打っていたというわけだ。
とはいえ、国によって人口も大きく違う。各国のワクチン確保の実情は、人口100人当たりの累計接種回数で見るほうががわかりやすい。実際、順位も大きく変わってくる。
断トツはイスラエルで、100人当たり約115回。2位はアラブ首長国連邦(UAE)の約80回、3位がチリで約50回。ようやく4位が英国で約49回(3月26日時点)、5位にアメリカの約41回となっている。続くブラジル、ロシア、中国は100人当たり10回以下となり、ここまでが世界平均の6.9回をかろうじて上回っている。
日本はどうかといえば、人口100人当たりわずか0.65回だ。
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