日本の食品「輸入依存」で連鎖する巨大なリスク サバなど一定水準の輸入はもう期待できない
たとえば、トウモロコシは中国の輸入量急増やアメリカなど生産地の生産減少が高騰原因。植物油の高騰は生産地であるマレーシアでの労働力不足が原因で、生産が需要に追いつかない点が指摘されている。さらに投機資金の流入が商品相場の高騰に拍車をかけた。
生産国での悪天候や、コロナ禍における世界的な内食需要の高まり、サプライチェーンの混乱などの影響が重なり、食料価格の高騰に収束のメドはたっていない。
さらに長期化することによる食料インフレの懸念もささやかれている。すでに日本国内でも、トウモロコシを使った家畜の飼料が値上がりしており、今後、豚肉などの価格に影響が出そうだ。4月以降は、小麦粉・パン、食用油の値上がりも見込まれている。内食コストは確実に上がることになる。
食料輸入大国の大いなる不安
最近の食料品の高騰自体、憂慮すべき事態には違いないが、国民にとっては将来的な需給問題のほうがより切実で重要な問題ではないだろうか。食料の多くを輸入に頼っている日本。2020年の農水産物輸入は7兆6918億円にのぼる(輸出は8842億円)。
農産物は①アメリカ1兆3628億円 ②中国6735億円 ③カナダ4115億円がトップ3。水産物は①中国2633億円 ②チリ1487億円 ③アメリカ 1165億円、と依存している。
国際社会でいがみあう米国と中国への依存度が高いという、なんとも皮肉な状況になっている。
昨年、中国産の玉ねぎやニンニクの輸入が滞り、大幅な品薄、値上がりを招いた。農林水産物約400品目のうち、中国からの輸入がシェアトップとなっている品目が100ほどあるのが現状。
コロナ禍で外食需要が大幅に落ちているとはいえ、緊急事態宣言解除で再び外食向け需要も増加するだろうから、今後、中国産食材への依存度は高まることはあっても低下することはなさそうだ。
だが、中国国内の食の変化や需要増もあり、いつまでも安価な輸入を維持できるという保証はない。人口がいまだに増え続け、食生活の水準が上がっている中国は、近い将来、食料輸入大国になるとみられている。そんな状況で、中国産食材への依存度が高いままというのはリスクが高すぎる。
人口減社会の日本とは裏腹に、世界的に人口が増え続けていく国際社会において、食料とエネルギーの争奪戦はますます激しくなっていく。生鮮物の場合は天候や資源管理の要素も加わるから、安定供給に必要なだけの食料を確保していくのは、年々困難になっていく。そして国際的な需要が増大すれば価格も上昇する。特定国への依存が高すぎるのは考えものだろう。それは中国に限った話ではない。
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