日本の食品「輸入依存」で連鎖する巨大なリスク サバなど一定水準の輸入はもう期待できない
身近な例で見てみよう。近年、健康志向の高まりで人気が過熱しているサバ。スーパーに出回っている塩サバの半数はノルウェー産だといわれている。
2020年のサバの輸入量は5万2751トン、輸入金額は129億円余り。前年に比べ数量で20.3%減、金額で24.2%減となっている。輸入元はノルウェーが4万5751トン、112億円で全体の約87%を占め断トツだ。
その結果、東京都中央卸売市場での取り扱い実績にも変化があらわれた。2020年の冷凍サバの取引量は約2075トンと前年の約74%の水準にとどまり、平均価格は615円で前年比約12%の上昇となった。
一定水準以上の輸入は期待できない
この数年間のノルウェーからの輸入量を見ると、2019年は5万7208トン、2018年は5万9456トン、2017年は5万6263トンだった。2020年は近年よりも数千トン減っているが、ダントツには変わりない。
このほか、ノルウェーから中国やベトナム、タイなどに輸出されて、現地で加工されたサバも輸入されている(さらに缶詰等の調製品も、ベトナムやタイなどから年間2万5500トン余り輸入されている)。
ノルウェー水産物審議会のデータによると、2020年のノルウェーのサバの総輸出量は30万トンで、全体の5分の1が日本向けとなっている。
ノルウェーの海域で獲れるのはタイセイヨウサバで、脂の乗りがよい秋に集中的に漁を行うことで知られ、資源管理も徹底している。FAOの最新データによると、2018年のサバの漁獲量は18万3597トンだ。
なお、2010年から2018年の間でもっとも多かったのは2017年の20万6527トンである。(もっとも少ない2012年は7万3000トンだった)獲れる量は限られているのだ。それだけに、健康志向で日本国内の需要がいくら高まろうが、一定水準以上の輸入は期待できないということである。
漁獲量が制限されたり、悪天候による不漁が続いたりしたら、当然、輸入量に影響が出てくる。脂が乗っておいしいノルウェー産のサバの価格がこの先、不漁などで高騰しないことを願うばかりだ。
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