ウエルシアが化粧品販売で狙う「マツキヨ」超え 化粧品専門店「MASAYA」を買収した周到戦略

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ドラッグストア間の競争は激しく、生活必需品など一部の商品では値下げ合戦が始まっている。

上村社長は以前、ウエルシア薬局で化粧品商品部長を務めていた。それだけにドラッグストアの現場を知り尽くしたうえで将来構成を練っていると思われる。値下げによるジリ貧を避けるべく、化粧品ではカウンセリング力など価格以外の付加価値を提供していく狙いだ。

他方、カウンセリング販売を必要とする高価格帯化粧品の商機も地方で広がっていると上村社長はみる。これまで同商品を販売していた地方の百貨店店舗は経営難となり閉店が相次いでいて、高価格帯化粧品の売り場が減少している。

資本力生かし、ドミナント化

徳島県は2020年に、百貨店が県内に1つもない「百貨店空白県」となった。百貨店に代わる新たな高価格帯化粧品の購入場所となるべく、MASAYAは同年8月にイオンモール徳島に出店。「百貨店がない地域でもイオンモールはある」(上村社長)ことを生かす。

一方、MASAYAとしては、ウエルシアの資本力を背景に広域の出店や自社ECの展開などデジタル化を推進していく。

例えば、九州のMASAYAは宮崎の1店舗のみ。これでは仕入れやスタッフ配置などでスケールメリットを生かせない。現在店舗が少ない地域を中心に、毎年2~3店舗を出店してドミナント化を図る。

ウエルシアは、MASAYAの買収によって高価格帯化粧品市場に参入し、ドラッグストアでも販売をしていくことができるのか。ウエルシアとMASAYAの連合が化粧品販売で存在感を増していくことは間違いないだろう。

星出 遼平 東洋経済 記者

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ほしで・りょうへい / Ryohei Hoshide

ホテル・航空・旅行代理店など観光業界の記者。日用品・化粧品・ドラッグストア・薬局の取材を経て、現担当に。最近の趣味はマラソンと都内ホテルのレストランを巡ること。

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