「同居人あり女性」の自殺者が増えている理由 家族と一緒で幸せなはずなのになぜなのか

✎ 1〜 ✎ 160 ✎ 161 ✎ 162 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

また、普段なら、気分転換になる買い物も、手早くササっと済ませなければという使命に変わり、消毒などの手間に多くの時間をかけた方もいらしたのではと思います。文字どおり、息の詰まりそうな日々の連続だったわけです。

外出も外食もままならず、友人とおしゃべりをする物理的な機会も失われました。オンラインツールなどの普及で、いくらでもつながれるというのはあながち間違いではありませんが、女友達と愚痴を言い合えるのは、パートナーがいないときにこそ、自由に行えることでもあります。

クローゼットの中から小声で泣きながらの相談電話を受けるなどのことも実際にありました。氷山の一角であると思いますし、追いつめられている方は多いと実感します。日々のちょっとした行き違いや不満を気兼ねなく吐き出す場は、必要です。

家庭を持つ女性たちは、家族も仕事もあるのに何に不満があるのかと攻撃を受けやすく、自分の不満がわがままなのでは、とさらに追いつめられてしまいやすい特徴があります。家事も子育ても、仕事もこなし、すべてを担うことは不可能です。限界を超えてなお、頑張りすぎることに危惧を覚えます。家事も育児も365日休みはありません。

言葉にして具体的な「意思表示」を

だからこそ、手を抜くことが大切です。そのためには、家族の理解も必要ですが、この一番身近な家族が協力しないということは珍しいことではありません。しかし、自分の意思を伝えることは大切だと思います。当然だと思っていると、大変なことにさえも気づいてもらえないのです。そのときには、ぜひ、具体的な意思表示をしてください。

家族なんだから「そのくらいわかるでしょ」「察してよ」という気持ちは、残念ながら伝わりません。例えば、「ちょっとくらい手伝ってよ」ではダメで、「掃除をしたいから、30分だけ、子どもを公園に連れて行ってくれる?」と伝えることが大切なのです。

また、外部の人の手を借りればよいとも簡単には言えません。人を介すれば、経済的な負担も多く、すべての人がそれができるわけではないからです。ただ、自分ひとりがやらなければならないという使命感からは、解放されてほしいと切に願います。

スーパーウーマンになる必要はないし、それで自分がつぶれてしまっては元も子もありません。小さな子どもがいたり、サポートの必要な家族がいれば難しいとは思いますが、今一度、ご自身のことを見つめる時間をもっていただきたいと思います。

緊急事態宣言が解除されたとはいえ、以前の生活が戻るわけではありません。自分自身に負荷をかけ、それに気づかずに、ご自身がやらなければならないと、使命感のようなもので頑張っている女性の方は本当に多くいると思います。まだまだ、限られた環境の中でできないことも多くあるとは思いますが、ご自身のひとり時間、楽しみ、リラックス方法をぜひ模索していってください。決して、ひとりで抱え込まないことを心から願っています。

大野 萌子 日本メンタルアップ支援機構 代表理事

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

おおの もえこ / Moeko Ohno

法政大学卒。一般社団法人日本メンタルアップ支援機構(メンタルアップマネージャ資格認定機関)代表理事、産業カウンセラー、2級キャリアコンサルティング技能士。企業内健康管理室カウンセラーとしての長年の現場経験を生かした、人間関係改善に必須のコミュニケーション、ストレスマネジメントなどの分野を得意とする。現在は防衛省、文部科学省などの官公庁をはじめ、大手企業、大学、医療機関などで年間120件以上の講演・研修を行い、机上の空論ではない「生きたメンタルヘルス対策」を提供している。著書に『よけいなひと言を好かれるセリフに変える言いかえ図鑑』(サンマーク出版)がある。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事