感染対策と生活をいかに両立させるか。新型コロナウイルスの流行以降、社会的な生き物である人間が、自由に人と交流できないという状況に陥っています。息の詰まるような日々を強いられる中で、自殺のニュースが目につくようになってきました。
直近、警察庁が公表した統計によると10月の自殺者数が全国で計2153人となり、昨年同月に比べて約4割増えています。自殺者数は7月以降、4カ月連続で増えていて、特に女性の自殺者数の大幅な増加が話題になっています。こういったデータは社会の雰囲気をより暗くさせるものです。
自殺者の増加について、誰もが新型コロナウイルスとの関連を連想すると思います。しかし、それがどのような意味においてなのかは必ずしも明確ではありません。経済状況の悪化、在宅時間の増加による家族関係のトラブル、社会に蔓延する閉塞感、ニューノーマルへの不適応、あるいは、感染に対する恐怖心などたくさんの原因が考えられます。
こうした分析は、自殺対策を立てていくうえで必要不可欠になります。ですから、安易に結論を出さずに慎重に考えていくことが重要です。
女性より顕著に多い男性の自殺者数
短期的に観測されたデータについて、すぐに原因をつきとめることは難しいのですが、自殺については長期的に確認できる1つの傾向があります。長年にわたって、男性のほうが女性よりも常におおよそ1.5~2倍も自殺者数が多いのです。
2020年4月から10月までの自殺者数を男女別で確認してみても、どの月でも男性の数が顕著に多いことがわかります。男性という性別が自殺に影響を与えているのは明白です。
(外部配信先ではグラフを全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)
確認するまでもないことですが、だからと言って、女性や子どもの自殺が増加している状況を軽視していいと言っているわけではありません。そもそも日本は他国と比べて自殺者数が多く、年齢、性別を問わず対策を立てることが重要です。そうした前提をふまえて、ここでは、なぜ性別によって自殺者数に大きな偏りがあるのかを考えてみたいと思います。
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