「ベンツ」を射止めたルノー・日産の腹案、実利を優先した現実的提携の正否
「双方の利害は一致している。補完性もある」(ディーター・ツェッチェ・ダイムラー会長)。
4月7日、戦略的提携で合意した仏ルノー、日産自動車、独ダイムラー。株式交換により、ルノー日産とダイムラーが3.1%ずつ株式を保有する。
提携内容は小型車の共同開発とエンジンの共用、ダイムラーから日産の高級車ブランド「インフィニティ」へのエンジン供給、小型商用車での連携など多岐にわたる。カルロス・ゴーン・ルノー会長兼日産社長は「今後5年間で、20億ユーロ以上の効果がある」と胸を張り、ツェッチェ会長も「うちも同じくらいだ」と仲良く期待感を示した。
昨年末の独フォルクスワーゲン(VW)とスズキに次ぐ大型新連合が誕生。その背景には、高級車の雄・ダイムラーの焦りがあった。
欧州の自動車メーカーは今、欧州委員会から「新車の二酸化炭素(C02)排出量を平均130グラム以下にせよ」という匕首(あいくち)を突きつけられている。超過したら罰金だ。2012年から段階的に適用され、15年にはすべての新車が対象になる。
「ダイムラーは09年の1年間だけで13グラムも減らした。12年までに140グラム以下にする」。2月中旬、ツェッチェ会長はメディアの前でこう宣言した。が、130グラム以下と言い切れないところに苦しさがのぞく。
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