「ベンツ」を射止めたルノー・日産の腹案、実利を優先した現実的提携の正否

新トップとなったアウディに言わせれば、その理由は明快。アウディ本社で企業戦略を担当するヨーゼフ・シェーン氏は、欧州主要国で消費者の価値観が変化していると分析する。

一定の財力、収入などがあり、伝統的で保守的な価値観を持つ“中流層”は全体の1割強を占めるが、近年減少傾向にある。一方で、革新的な価値観を持つ層が同じく1割近くまで増加しているというのだ。「新しい社会構造の中で、保守派に支持されているのがメルセデス・ベンツ。そして、革新派はアウディを選ぶ」(シェーン氏)。

高級車での神通力低落に、CO2リミットの接近。ツェッチェ会長はかなり以前から提携先を探していた。スズキにも相当ご執心だったといわれるが、くしくもアウディの親会社であるVWにさらわれた。

クライスラー、三菱自動車工業、現代自動車、いずれの提携にも失敗したダイムラーでは、企業提携に「人間対人間、ハートとハート」を求める鈴木修スズキ会長兼社長は首をタテには振れなかっただろう。

CO2ゼロのEVが企業連合の接着剤に

次善の策ではあったが、ルノー日産は悪い選択ではない。前出のJATOランキングでルノーは4位だ。

ルノー日産は先日、部品点数を従来より4割も削減した新開発の小型車台「Vプラットフォーム」の開発にも成功した。第1弾のモデル「マーチ」が先日タイで発売されたが、現地価格は37・5万バーツ(108万円)から。同じ車格のメルセデス・ベンツAクラスが270万円からであることを見ても、小さい車づくりにはルノー日産に一日の長がある。

新連合の初仕事は次世代スマートとルノー小型車「トゥインゴ」の共同開発となりそうだ。発売から12年経ち、10万台割れをかろうじて維持するスマートブランドにとって、この協業は捲土重来を期す好機となる。

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