国連事務総長選に立候補した「34歳女性」の正体 負け覚悟で立ち上がった「移民の孫」の狙い

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国連の事務総長選に名乗りを上げたアカンクシャ(写真:Celeste Sloman/The New York Times)

監査法人から転職してきたアローラ・アカンクシャが国連で働き始めてから、まだ4年しかたっていない。だが、そんなことはどうだっていい。34歳で外交経験もない。だが、それが何だというのか。

年齢は、国連事務総長の座を争う現職のアントニオ・グテーレス(71)——ポルトガル首相や国連難民高等弁務官を歴任したベテランの政治家だ——の半分にも満たない。だが、そんなことは忘れてしまえ。

「姓・名」の順で名前を名乗り、アローラという名字で呼ばれることを好む彼女は、元難民の孫。事務総長に選ばれる可能性が低いことは、重々わきまえている。

役立たずの官僚機構に内部からNo!

それでも、主に自分の貯金から捻出した3万ドルの活動費用、そして「この業界で働く人間は、上の者に立ち向かわないものとされている」という文言で始まるソーシャルメディア上のプロモーションとともに、アローラは次期国連事務総長候補に名乗りを上げた。

インドで生まれ、現在カナダ国籍となっているアローラは2月17日に正式な書類を提出し、2022〜2027年を任期とする次期事務総長職に立候補した。書類には「私たちは国連の目的や約束にかなう行動ができてない」と書いた。「私たちは、仕えるべき人々を裏切っている」というわけだ。

この異端の候補者を支持すると正式に表明した国はまだない。とはいえ、その大胆な出馬宣言によって、193カ国が加盟する国連が痛いところを突かれたのは事実だ。

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