国連事務総長選に立候補した「34歳女性」の正体

負け覚悟で立ち上がった「移民の孫」の狙い

アローラは国連の歴史について猛勉強を開始。働きながら再び大学に通った。コロンビア大学で行政学に関する大学院課程を履修し、そこで友人となったのが、同じ大学院に通っていたアンヌ・カリーヌ・フレデリックだ。ハイチ系アメリカ人のフレデリックは国連でインターン経験があり、ハイチにいる親族がコレラに苦しめられたこともある。国連平和維持軍がハイチにコレラを持ち込んだことが医学専門家によって突き止められ、国連の名声に拭いがたい汚点を残した。

国連に批判的な意見を持つ2人が出会い、それからさまざまなことが重なって、現在コロンビア大学のビジネススクールで働くフレデリックが、国連事務総長に立候補したアローラの選挙活動を支えている。

男女平等掲げるリーダーを求める声高まっている

アローラは国連の有力者から明確な支持を得ているわけではないが、かといって抵抗に遭っているわけでもない。国連人権高等弁務官を務め、国連事務総長の候補者と目されたこともある元アイルランド大統領のメアリー・ロビンソンは、電子メールの声明でアローラの出馬を「まったくもって健全」と歓迎した。

「指導的な役職にもっと多くの女性と若手を登用する必要がある。そうしたアローラ・アカンクシャの問題意識の多くに私も同感だ」とロビンソンは自身の声明に記した。

国際女性研究センター(ICRW)の政策提言担当シニアディレクター、リリック・トンプソンは、候補者としてのアローラを見くびってはならないと話す。ちなみにICRWはジェンダー問題に関するグテーレスの取り組みについて昨年「B」評価を下した。

「男女平等を掲げるリーダーを求める声はかなり前から高まってきている」とトンプソンは指摘する。「(アメリカ下院議員の)アレクサンドリア・オカシオ=コルテスや(ニュージーランド首相の)ジャシンダ・アーダーンの活躍を見ればわかるように、若い女性の声を排除するほど私たちは愚かではない」 =敬称略=

(執筆:Rick Gladstone記者)
(C)2021 The New York Times News Services

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