高級ホテル「30泊プラン」ははたしてお得なのか 帝国ホテル、ニューオータニなどが続々発売

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業績の落ち込みを100%カバーできずとも、一種の先行投資として特価を打ち出すことで、「これは安い!」とポンと一括で支払いができるエグゼクティブ層や景気のいい企業オーナー・個人事業主を呼び込み、コロナ以降もお得意様になってもらえれば御の字、という苦肉の策だろう。

お手軽価格の庶民型ワーケーションはあるのか?

高級ホテルの“格安”長期滞在プランは、庶民には高嶺の花だが、もっと手が届くものはないのか。ホテル暮らしにこだわるなら、おなじみビジネスホテルでも長期プランを実施している。

スーパーホテルやドーミーインなどの30連泊プランは、朝食付きで清掃は週1~2回など。実施しているホテルによっては天然温泉も利用可能だ。高級ホテルのように広々とした個室、というわけにはいかないが、逆になじみがあって落ち着くかもしれない。食事がコンビニ弁当でも後ろめたくない。

しかし、都心のスーパーホテルで試しに試算したところ、3月1日から滞在すると1人分料金でトータル15万7500円となった。ビジネスホテルとはいえ結構かかるのだ。

都心ではやはり宿泊料が高い。しかし地方に目を向けてみれば、元祖ワーケ―ションといえる長期滞在形態があるではないか。

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例えば温泉地に逗留する湯治。以前、大分県別府温泉に行ったときに「貸し間」という文字を掲げた温泉旅館が目に入った。短期の旅行客だけでなく、長期滞在用に部屋を貸す商売らしい。むろん台所も使えるし、良質の天然温泉も入り放題、温泉の蒸気で食材を調理する「地獄蒸し」設備もある。高速Wi-Fi完備とはいかないだろうが、インバウンドを受け入れてきた地方の観光地のほうが、都会よりフリーWi-Fi設備が整っていることも多い。

さすがにコロナ禍で他県を訪れるのは難しいが、感染が収まったあかつきにはPCを抱えて湯治ワーケ―ションを実践してみたい。気前よく大金をぽんと払える財力はないが、自分流ワーケ―ションをあれこれ妄想する力なら誰でも持っている。コロナ収束までは、それで楽しむとしよう。

松崎 のり子 消費経済ジャーナリスト

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まつざき のりこ / Noriko Matsuzaki

20年以上にわたり『レタスクラブ』『レタスクラブお金の本』『マネープラス』などのマネー記事を取材・編集。家電は買ったことがなく(すべて誕生日にプレゼントしてもらう)、食卓はつねに白いものメイン(モヤシ、ちくわなど)。「貯めるのが好きなわけではない、使うのが嫌いなだけ」というモットーも手伝い、5年間で1000万円の貯蓄をラクラク達成。「節約愛好家 激★やす子」のペンネームで節約アイデアも研究・紹介している。著書に『お金の常識が変わる 貯まる技術』(総合法令出版)、『「3足1000円」の靴下を買う人は一生お金が貯まらない』(講談社)、『定年後でもちゃっかり増えるお金術』(講談社)。
【消費経済リサーチルーム】

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