育休中の「住宅ローン審査」が不利になるワケ 申し込む金融機関の対応を調べて交渉する必要

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ところで、妊娠中の住宅購入は大丈夫かというと金融機関などによっても対応がわかれるところですが、産休・育休取得の予備軍ですので考え方は準じると考えられます。

夫婦で収入合算する形で審査にとおっていたとしても、住宅ローンの契約時までに妊娠が発覚した場合は、妻の妊娠を踏まえての再審査となったり、融資金額が減額されるなど、住宅ローンの審査に影響することもあります。

特に1年以上先に完成予定のマンションなどを購入するケースでは要注意です。これから、家も子どももと考えている人は、物件価格や借入額、借り方なども含め、慎重に検討することが重要です。

中には、契約した金融機関との調整で、育休期間を予定より短くした人も。金融機関によっては、産休・育休中の返済額について低く抑える工夫を盛り込んだ住宅ローンを取り扱っているところもありますので、情報収集してうまく活用してはいかがでしょうか。

団体信用生命保険にも影響

妊娠中の住宅購入について補足すると、団体信用生命保険の申込時に記入する“健康状態に関わる告知書”で、妊娠時の受診も申告の必要があるのが通常です。何事もなく団信OKとなるケースが大半ですが、告知の内容によっては団信に加入できないケースもあり、団信不加入=住宅ローンを組めない金融機関がほとんどです。

もしも、あきらかに妊娠がわかっているタイミングであるのにもかかわらず、あえて妊娠の事実を告知しないで団体信用生命保険に加入できた場合について言えば、妊娠・出産によって保険事故(たとえば命を落とすなど)が起きると、事実を告げていなかったとして団体信用生命保険からの保険金はおりません。また、詐欺行為を働いたということで融資金の全額返金を求められる可能性もゼロとは言えません。

したがって、これから前向きな家族計画を考えている場合は、完成済み物件や中古物件など、住宅ローン審査から契約、引渡しまでの期間が長期に渡らない物件を選んだほうが、無難と言えそうです。

また、すでに産休・育休中であれば、物件引渡し時(融資実行時)と育児休業の期間が最も望ましい形にできる金融機関を探して住宅ローン審査を受けることが大事です。そう考えると、いちばん無難なのは、貯蓄を増やしておいたり、物件価格を抑えるなどして、夫1人分の住宅ローンで足りる物件を選ぶことかもしれません。

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