ソニー復活? 3つの挑戦--知られざるビジネス変革[下]

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 フルEVであれば、1台当たりに搭載される電池は携帯向けの8000倍の容量ともされる。電池の生産コストは原材料が6割方を占めるため、自動車向けで生産規模を拡大できた電池メーカーだけが、コスト競争力を持てる。ここにおいては、他部門とシナジーも何もない。投資を傾注し、競争力を最大化できるかに存亡が懸かっているといえる。

自動車用電池において、ソニーは圧倒的な先行者となるチャンスが2度あった。1度目は91年。日産自動車との共同開発で、95年には試作車を造るまでにこぎ着けている。二度目は、ホンダとのパートナーシップだ。

ホンダ側がソニーの高い技術力にほれ込む形で95年に始まり、NDA(秘密保持契約)を結んだうえで自動車用電池の調査を手掛けた。ソニー、ホンダの内部でもほとんど知られていない秘話である。

だが両社との関係を98年、ソニーは自ら終止符を打った。元ホンダの技術者は、最後に会ったソニー技術者の言葉を今も覚えている。「人命にかかわる事業はやらない。そう経営トップが判断しました」。

現在のソニーの強みは、オリビン型リン酸鉄リチウムを正極材料に使った新型電池だ。09年8月、国内電池メーカーとしては初めて量産にこぎ着けた。オリビン系電池は、現在主流のコバルト酸を正極材料にした電池に比べ、熱暴走の危険度が格段に低いことが特長。安全性を最重要視する自動車用途では、容量とコスト競争力さえ改善すれば最右翼ともされる技術だ。

しかし、このオリビン系ではすでに、米国のベンチャーメーカー「A123システムズ」が自動車向けで実用化を進めている。10年中にベンチャー企業のプラグ・イン・ハイブリッド型スポーツカーに搭載されるほか、IHIとの業務提携で、日本の自動車メーカーに対しても接近中だ。10年間の空白期間を経て再参入した自動車電池でも、専門店型のライバルが待ち受ける。

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