「警察の裏金」暴露した男が語る内部告発の苦悩 顔出し・実名の記者会見から17年経た今の思い

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警察の組織的裏金づくりは、「原田証言」の前も問題になっていた。警察庁の首脳陣だった人物が自著で明らかにしたこともある。国家公安委員会が1990年代末に設置した警察刷新会議では、座長代理を務めた樋口廣太郎・アサヒビール名誉会長(当時、故人)が「二重帳簿」という語句を使ってこの問題に言及したこともある。また、2004年2月の国会答弁では、小泉純一郎首相(当時)が「(裏金づくりは)日本警察全体の問題だ」と指摘した。

――いろんな指摘があっても、組織の悪弊は簡単に変わらない。それが多くの国民の実感でもあると思います。原田さんの告発後、警察は変わったのでしょうか。

私は、民間企業の勤務経験は安田生命しかありません。しかも10年足らず。したがって、日本社会全体を視野に入れて、組織の問題を語る資格はありません。ただ、私の実名証言が警察組織に変化をもたらした部分はあると思います。

おっしゃる通り、警察の裏金疑惑はそれまでも何度も問題になっていました。しかし、いろんな指摘を受けても、真相が明らかになったことはありませんでした。そもそも裏金の源流は、戦前の特高警察の機密費だと言われている。それほど根深い問題でもあります。

先ほども触れた北海道庁の裏金が表面化した際も、道の機関でありながら道警だけは追及を免れました。このままでは警察の裏金システムは闇に葬られる。私の告発は「これが最後のチャンスだ」と思ったからです。

多くの府県警察で裏金疑惑が発覚

私の記者会見のあと、多くの府県警察で裏金疑惑が発覚しました。その中には、警察OBや現職警察官による告発もありました。裏金問題だけではなく、懲戒処分などに対する警察官自身の不服申し立てや国賠訴訟も数多く提起されました。

その後、警察官の大量退職時代も終わり、若い警察職員も増えました。大卒警察官も増え、女性警察官も増えています。警察官の意識も時代とともに変化しているようです。

しかし、警察職員による犯罪や不祥事が減っているとは思えません。警察庁が毎年公表している懲戒処分を受けた警察職員の数は一時よりは減少しているようですが、若い警察官が上司を拳銃で射殺する事件もありましたし、スピード違反の取り締まりで証拠を偽造するという考えられないような事件もありました。冤罪事件や警察に対する国賠訴訟の提起なども増え、警察に対する市民の眼も厳しくなっているように思います。

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