昇進スピードの格差は拡大傾向に、ポスト登用時の選抜がより厳しく
同期入社、または入社年次が近い社員の課長昇進に関し、昇進までの年数格差が拡大している(早い者と遅い者との差が広がった)ことが明らかになった。
民間調査機関の労務行政研究所では,企業における役職(係長・課長・部長相当の職位)への昇進年齢の実態と昇進スピードの変化について調査を行い、その結果がこのほどまとまった(調査対象は全国の上場企業を中心とする4003社)。
役職(係長・課長・部長)への最短昇進年齢と標準昇進年齢を尋ねたところ、最短は係長29.5歳、課長33.9歳、部長40.1歳となった。
標準は係長32.7歳、課長39.4歳、部長47.0歳。
昇進スピートは「早くなっている」企業が約3割
今回の調査時点と2004年との比較で、昇進のスピードの変化を尋ねたところ、いずれの職についても「変わらない」が最も多く、全体の約6割。
一方、「早くなっている」は約3割であるのに対して、「遅くなっている」は約1割と「早くなっている」とする企業のほうが多い。
昇進スピード変化の理由とは
課長および部長について、昇進が「早くなっている」または「遅くなっている」場合の理由を複数回答で尋ねた。
「早くなっている」理由では、「若返りを図るため、若手を積極登用した」が最も多く、課長で67.6%、部長で63.2%といずれも6割超を占めた。
これに続くのが「成果主義、能力主義の浸透」(課長56.8%、部長60.5%)で、経営幹部候補や優秀者の積極登用が変化の主因とみてとれる
これに対し、「遅くなっている」理由のトップは「ポスト不足」で、課長・部長とも回答の7割超を占めた。ただし、前回05年調査では、ポスト不足を理由に挙げた企業が課長で91.7%、部長で85.7%となっていたことと比べると、その割合は若干低下している。
一方、2番目に多かった「昇格基準を厳格に運用している(または厳格化した)」を挙げた企業は、課長で42.1%(前回33.3%)、部長で50.0%(同21.4%)となり、いずれも増加傾向を示している。
こうした変化の背景には、成果や能力を重視する制度の広まりに加えて,バブル期の大量採用層が昇進対象年代にさしかかる中、ポスト登用時の選抜をより厳格化する動きがあるものとみられる。
「格差拡大」と回答が4割強
同期入社または入社年次の近い一般社員が「課長に昇進するまでのスピードの個人差の変化」についても2004年との比較で尋ねてみた。
集計では「変わらない」が52.0%で、なお過半数を占めているものの、「昇進までの年数の個人差が大きくなった(早い者と遅い者との差が広がった)」も43.9%に上っており、優秀者の早期登用や、成果・能力に応じた評価等が昇進スピードに影響していることがわかる。
(東洋経済HRオンライン編集部:田宮寛之)
【調査概要】
1.調査時期:2009年10 月5日~12月3日
2.調査対象:全国証券市場の上場企業を中心とする4003社
3.集計対象:前記調査対象のうち,回答のあった138社(製造業63社・非製造業75社)
※労務行政研究所では同様の調査を2005年にも実施した。
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