挫折も不調もない?超一流ランナーの発想法 日本長距離界の”皇帝”は超人か、努力の人か

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各世代のステージで活躍できた理由

佐藤は中学、高校、大学、社会人(シニア)と各カテゴリーの舞台で「ナンバーワン」に輝いてきた。今をときめく20代アスリートの本田圭佑、長友佑都、ダルビッシュ有、田中将大なども佐藤ほど順風満帆ではない。注目を集める中で、佐藤はいかにして世代のトップを走り続けてきたのだろうか。

「新たなステージで重圧を感じることはなかったですね。中学から高校は、ワンランク上がいるので、全員が格上の相手だと思って臨みました。高校から大学、大学から実業団も同じです。ただ、同世代が走るレースは違います。『勝ち』を求められたのでプレッシャーは強かったですね。自分がトップにい続けるためには、何をしなければいけないのか。そのことをつねに考えてきました」

高校、大学、実業団と名門チームに所属してきた佐藤だが、つねに「考えてきた」ことが、今の“強さ”につながっている。たとえば、監督やコーチからの指示に対しても、ただ従うだけでなく、自分なりの“研究”を加えることで、新たな“情報”を得てきたのだ。

「教わったことをただやるんじゃなくて、自分なりにアレンジして、よりよいものを作っていく姿勢が大切だと思います。特に高校や大学では、試合前の調整などをいろいろと自分で試してきました。失敗した経験もたくさんあるので、今はより厳選されたものをチョイスできる。また、いろんなことをやっていくうえで、自分のカラダのことをよく知ることができました」

佐藤は自分のカラダの特性を熟知することで、トレーニングや調整方法などでオリジナルのメソッドを構築していった。練習で追い込むことができないという佐藤は、狙う大会から逆算して、「レースを入れながら仕上げていく」というスタイルを確立。試合前のコンディショニングに関しても、体調に合わせて毎回“微調整”をして、本番に合わせている。

エリートランナーは挫折を知らない

どんなエリートでも、「敗北」の経験は絶対にある。佐藤も大学4年時は調子が上がらず、主要大会で負け続けた。北京五輪のトライアルだった日本選手権は欠場。箱根駅伝でも4年連続区間新を逃している。しかし、佐藤悠基は「挫折」を知らないという。

「挫折ですか? 自分の中ではあまりないですね。大学4年時は結果を残すことができなかったですけど、自分の中では割り切っていたので、『挫折』とはいえません。同学年の竹澤(健介)がオリンピックに出場するなど悔しい思いはしました。でも、自分が頑張るときは今じゃない、と思っていたのです。大学4年時は試合よりトレーニングに集中して、社会人1年目で結果を出せるような準備をしました」

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