香川真司の「新天地探し」がここまで難航した訳 大物サッカー選手が直面する「30代の壁」の正体

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「PAOKはギリシャでもビッククラブですし、あとは何よりクラブ、監督を含めてつねにいいミーティングを重ねてこれたので、それも(移籍の)非常に大きな要因になりました。やりたいサッカーというものも自分自身、イメージできたので」

本人は移籍に踏み切った理由を27日のクラブ公式ユーチューブチャンネル「PAOK TV」のインタビューで語り、清々しい表情を見せた。が、スペインに強いこだわりを持ち続けた彼にしてみれば、ここまでの胸中は複雑なものがあったはず。実際、サラゴサ退団後も現地にとどまってトレーニングを続けてきた。その地を離れるのは苦渋の決断だったに違いない。

香川がフリー状態になった経緯

そもそも香川はなぜスペインに残れなかったのか。1つは同国サッカークラブの経営が想像以上に厳しいからだ。レアル・マドリードを例に取ると、新型コロナウイルス感染拡大前の18-19シーズン段階では総売上が約900億円と言われたが、コロナによってリーグは休止。

再開後も無観客となり、年間約180億円の入場料収入が失われる格好となった。同クラブの総支出も約900億円というから、入場料収入分がそっくり赤字ということになってしまう。ダメージは絶大なのだ。

スペイン2部・サラゴサの運営規模はレアルの2%に相当する約20億円。「2部には年俸3000万円以上の選手はほぼいない」とスペインリーグ事情に詳しい代理人も証言しており、香川のような高年俸選手を雇うのは最初から難しい経営状況だった。それでも「19-20シーズンに1部昇格できれば、20-21シーズンは相応のテレビ放映権料が入ってくるから、彼への年俸を支払える」という算段があったようだ。

しかしながら、昇格は叶わず、彼と契約を続行できる状況ではなくなった。加えて、外国人枠の問題が重なった。クラブ側は昨季31試合4ゴールという活躍度に満足せず、別のEU外選手の獲得を熱望。そこで「双方合意による契約解除」という形になり、香川はフリー状態になったのである。

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