目的と手段が混ざる人に教えたい「思考のコツ」 儲からない同質化競争を避けるために役立つ
経営や事業を成功させるうえで必要なことの1つに「論理的思考」があります。事象の関係性、原因の解明、論点・仮説・検証……。これらは、事業の要素である一つひとつの仕事をうまく進めるうえでも大切なことで、ビジネスに必須な思考法です。ではそれらはどう養えばよいのか。菅野寛・早稲田大学MBA教授の新著『MBAの経営戦略が10時間でざっと学べる』を一部抜粋・再構成し、その方法を解説します。
相関関係があっても因果関係があるとは限らない
論理的思考では複数の事象の「関係性」を意識することが重要で、その1つが「因果関係」です。例えば、調査で次の事実が判明したとします。
①ある製品の消費者認知度が向上した
②その製品の販売量が増えた
この場合、「認知度が上がれば売れる。売上を増やすために広告宣伝を増やそう!」と意思決定すべきでしょうか。
①②の事象には「相関関係」があります。でも「因果関係」があるとは限りません。
仮に因果関係があるとしても、どちらが原因で、どちらが結果なのでしょうか。「認知度の向上が原因で、販売量の向上が結果」という解釈が1つです。「消費者がたくさん買うようになり、消費者の認知度が向上した」、すなわち「販売量の向上が原因で、認知度の向上は結果」という解釈もできます。この場合、広告宣伝で認知度を上げても販売量は増えません。
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