「部下のメンタル不調」を見抜く3つのサイン 上司だけで問題を抱え込まない組織的対応策
私は、心療内科のクリニックを運営するかたわら、嘱託医として、いくつかの企業の社員のメンタルヘルスケアにたずさわっています。
その中で、各部門の上長やグループリーダーの立場にいる人たちと話をするとき、決まって出される質問が「疲れ気味の部下がいるのですが、どう声をかければいいのでしょうか」「メンタルクリニックにかかっている部下に、どの程度の仕事をさせればいいのでしょうか」「適応障害になって自宅安静から復職してきた部下を、どういうふうに見守っていけばいいのでしょうか」などです。
これらは、どれも難しい内容ではなく、むしろごく初歩的な対応についてのことばかりですが、対応するのはなかなか難しいようです。
上司がつい取りがちな対応
最近、あなたの周囲に、どうも様子のおかしい部下がいたとします。顔色が悪く、ミスを連発し、すっかり笑顔がなくなって、飲みに誘っても断ります。それでも勤怠に問題はなく、忙しい中、むしろ残業は増えています。
上司であるあなたは、「疲れているようだな」と気にして、声をかけます。でも、「大丈夫です」という答えしか返ってきません。あなたは気になっていますが、何の対策を講じることもなく、時間ばかりが過ぎていきます。
その半年後、彼は心身の不調をきたし、出社することができなくなってしまいました。そして、「適応障害」と書かれた診断書を提出し、長期の療養生活に入ったのです。あなたはいまさらのように愕然としますが、どうすることもできません。このようなとき、上司の取りがちな態度として、次のようなことが考えられます。
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