「部下のメンタル不調」を見抜く3つのサイン 上司だけで問題を抱え込まない組織的対応策

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「ラインによるケア」は、上長、部長、課長など、まさに職場の上司であるあなたが担います。具体的には、職場環境の改善、部下からの相談対応、職場復帰の支援などです。部下の変化にいち早く気づく指針として、次の3項目に注目してください。

  • ①勤怠に関して
  • ・遅刻、早退、欠席が増える
  • ・残業、休日出勤が不釣り合いに増える
  • ・休みの連絡がない(無断欠勤)
  • ②仕事に関して
  • ・仕事の能率が悪くなる
  • ・業務の結果がなかなか出てこない
  • ・報告や相談、職場での会話がなくなる(あるいは多弁になる)
  • ③行動に関して
  • ・表情に活気がなく、動作にも元気がない
  • ・ミスや事故が目立つ
  • ・服装が乱れたり、衣服が不潔であったりする
  •  

これらは、特別な知識がなくてもわかるものばかりであり、適応障害のサインととらえることができます。

部下のメンタルヘルス問題の相談先

『もし、部下が適応障害になったら──部下と会社を守る方法』(CCCメディアハウス)書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

部下のメンタルヘルスの問題を、一人で抱え込まないことが大切だと述べました。その具体的な相談先が、前にお話しした、③「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」に属する担当者です。

「事業場内産業保健スタッフ」とは、職場内で職員の心の問題をケアする職責を担った人たちです。医務室の産業医、保健師であり、人事部門の担当者が、それに当たります。

あなたが部下の不調を認めたときには、まず、これらの人たちに相談をしてください。問題を彼らと共有することで、メンタルヘルスケアを正しい方向に進めていくことができます。

④「事業場外資源によるケア」とは、事業場外の専門の医療機関や心理の専門家が介入できるよう、その体制、窓口を作っておくことです。

森下 克也 医師

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もりした かつや / Katsuya Morishita

1962年、高知県生まれ。医学博士、もりしたクリニック院長。久留米大学医学部卒業後、浜松医科大学心療内科にて永田勝太郎先生に師事、漢方と心療内科の研鑽を積む。浜松赤十字病院、法務省矯正局、豊橋光生会病院心療内科部長を経て現職。心療内科医として、日々全国から訪れる、うつや睡眠障害、不定愁訴の患者に対し、きめ細かな治療で応じている。
『薬なし、自分で治すパニック障害』(角川SSC新書)、『不調が消えるたったひとつの水飲み習慣 』(宝島社)、『うつ消し漢方』(方丈社)など、著書多数。

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