夫婦に「ソーシャルディスタンス」が必要な理由 「永久在宅ワーク」で家庭内で気をつけるべき事

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夫婦が一緒にいる時間が増えることで、見て見ぬふりをしてきた問題が顕在化しているという人もいるかもしれません(写真:cba/PIXTA)

こんにちは。生きやすい人間関係を創る「メンタルアップマネージャⓇ」の大野萌子です。

この1年、在宅ワークが増え、出張や飲み会が減り、夫婦が共に過ごす時間が増えてきている方が多いかと思います。相談業務の中でも、徐々に増えているのが、「夫が永久在宅ワークになった」というもの。とりあえず今を乗り切る体制ではなく、今後ずっと在宅ワークが基本で、必要に応じてのみ出社という形をとる組織も増えてきた実感です。

そうでなくとも、今後、働き方は多様化し、決して「今」だけの問題ではなく、「今後」は、今までどおりでは決してありません。これからの夫婦のあり方を考えていく岐路ともいえるでしょう。それぞれ夫婦の形はあると思いますが、よりよい関係性を目指すヒントをお伝えしたいと思います。

夫婦といえども伝えなければわからない

お互いに抱えていた不満も、一緒にいない時間が多いからこそ、何とかやりくりできていたものの、一緒にいる時間が増え、見て見ぬふりをしてきた部分が顕在化し、避けて通れない問題となっている場合は、現状が厳しくなっていることと思います。

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しかし、反面、夫婦関係がよくなったという意見も多いのです。

新型コロナウイルス流行前と比べて、夫婦間でコミュニケーションをとる時間が「増えた(とても増えた・やや増えたの合計)」と回答した人は49.4%、「変化なし」が49%、「減った」と回答した人は1.5%しかいませんでした(ソニー損保「家族と安心に関する調査」より)。

職場も家庭も同じなのですが、同じ環境下にいたり、一緒に過ごす時間が増えてくると「言わなくてもわかる」と勘違いしがちです。また、その思いが強いと、わかってもらえない相手に対して「なぜわからないんだ」と怒りさえ覚えてしまうのです。これはわがままでしかありません。また、「どうせ言ってもわかってもらえない」と諦めているケースもあります。

カウンセリングの場面でもありがちなのですが、不平不満をたくさん訴えてくる相談者に対し、そのことを相手に伝えたことがあるかと問うと、「伝えてません。言ったところでどうしようもないから」という言葉が返ってくることは非常に多いのです。以心伝心という言葉はありますが、残念ながら幻想です。夫婦といえども伝えなければわからないのです。そういう意味でも、コミュニケーションをとる時間が増えたことはよい傾向かと思います。

そのときには、「察しろ」ではなく、具体的に「こうしてほしい」「こう思っている」と明確に理解できるやり取りをする必要があります。「もうちょっと何とかならない?」ではダメなのです。

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