夫婦に「ソーシャルディスタンス」が必要な理由 「永久在宅ワーク」で家庭内で気をつけるべき事

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また、双方が居心地悪く、怒りや不満を抱えやすい背景には、知らず知らずに主従関係になってしまっていることがあります。夫(妻)との関係が対等ではなく、精神的なパワーバランスが偏っているケースです。

例えば、服装・髪型・持ち物・友人・仕事などに関して、自分1人で決めている割合が多ければ問題ないですが、いちいち口出しされると、1人で決めることに罪悪感を覚えるようになります。無意識に、意向をうかがうようになったり、自分ではこうしたいのだが、夫(妻)が反対するだろうなと自分の意思ではないところで決定を下していくと、だんだんと自分自身がなくなり、自己肯定感が下がってきます。

このスパイラルに入り込むと、ますます自信がなくなり、1人で何かを決めることができなくなり、つねに相手の意向に振り回される服従のような関係性ができます。長い時間をかけて少しずつ浸食されるので、気づかないうちにこのような関係性になることは珍しいことではありません。

相手の意向をきちんと把握することが大切

愛情は、相手に全面的に合わせることではありません。お互いに価値観を持ちつつも折り合いをつけていくといったプロセスが大切なのです。

折り合いをつける際も「きっとこうだろう」という思い込みではなく、相手の意向をきちんと把握することが大切です。

前段でも触れた調査の結果によると、コロナ禍以降の「夫婦の距離感」についての設問では、夫は「一緒にいたい(つねに一緒にいたい・できる限り一緒にいたい、の合計)」との回答が56.2%と一緒にいたい人が過半数を占めたが、妻は「一定時間は離れていたい(53%)」が過半数となった、とあります。夫の育休の相談でもありがちなのですが、夫は一緒に子育て体験をしたい、妻は夫が子どもの世話をしてくれる時間に1人になりたいという意向が強く、そのギャップに悩む事例が非常に多く寄せられます。

もちろん、個人差はありますが、一緒の時間が増えたからこそ、お互いの時間も大切にしていく必要があると思います。メンタルケアの基本は、誰かと共有できる時間と、誰とも関わらない1人の時間の両方が必要です。

夫婦の間でも、心地よいソーシャルディスタンスに取り組み、試行錯誤を繰り返しながら、お互いが納得できる距離感を模索していただければと思います。夫婦の絆が深まりますように。

大野 萌子 日本メンタルアップ支援機構 代表理事

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おおの もえこ / Moeko Ohno

法政大学卒。一般社団法人日本メンタルアップ支援機構(メンタルアップマネージャ資格認定機関)代表理事、産業カウンセラー、2級キャリアコンサルティング技能士。企業内健康管理室カウンセラーとしての長年の現場経験を生かした、人間関係改善に必須のコミュニケーション、ストレスマネジメントなどの分野を得意とする。現在は防衛省、文部科学省などの官公庁をはじめ、大手企業、大学、医療機関などで年間120件以上の講演・研修を行い、机上の空論ではない「生きたメンタルヘルス対策」を提供している。著書に『よけいなひと言を好かれるセリフに変える言いかえ図鑑』(サンマーク出版)がある。

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