《プロに聞く!人事労務Q&A》「中小企業子育て支援助成金」について教えてください

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《プロに聞く!人事労務Q&A》「中小企業子育て支援助成金」について教えてください

 

回答者:社会保険労務士朝比奈事務所 朝比奈睦明所長

質問

 弊社には育児休業制度がありますが、これまで社員が実際に利用したことはありません。しかし、先日社員から「妊娠したので、出産後は育児休業したい」との申し出ありました。育児休暇を初めて社員に取得させた企業は、行政から80万円から100万円の助成金をもらえると聞きました。この制度を利用するには、どのように手続きをすればよいですか? また、注意すべきことはありますか?(製造業・総務担当)

回答

ご質問の助成金は、育児・介護雇用安定等助成金の一つで「中小企業子育て支援助成金」(以下「子育て助成金」という)です。これは常時雇用する労働者数(※注1)が100人以下の中小企業において、育児休業または短時間勤務制度を2006年4月1日から12年3月31日(12年3月30日に出生した子)までの間に、初めて利用した従業員が継続して雇用され、復職後6カ月以上就労していた場合に受給できるものです。

なお、子育て助成金の対象となる従業員で、育児休業により支給されるのは、子の出生の日までに、雇用保険の被保険者として1年以上雇用されており、かつ1歳までの子を養育するために育児休業期間を6カ月以上(もしくは産後休業と育児休業を続けて6カ月以上)取得したことが要件となります。

<受給できる金額は?>


<申請期間>
申請期間は、育児休業終了後に継続して雇用され、復職後6カ月を経過した日の翌日から起算して3カ月以内となります。

<申請準備>
(1)次世代育成支援対策推進法第12条に基づき「一般事業主行動計画」(※注2)を策定し、都道府県労働局雇用均等室に「一般事業主行動計画策定届」を提出し、自社のホームページ等、インターネット上に公表のうえ、従業員に周知します。
(2)支給申請日現在において、労働協約または就業規則の内容が育児・介護休業法を順守する内容になっていない場合には、規則等を整備します。

<申請手続き>
上記(1)および(2)について、支給申請日までに実施のうえ「育児・介護雇用安定等助成金(中小企業子育て支援助成金)支給申請書」を作成し、その他必要書類を添付して都道府県労働局雇用均等室に提出します。

<申請時の注意点>
(1)「復職後6カ月以上就労していた」とは、実際に労働している必要があります(申請時に出勤簿、賃金台帳等提出の必要あり)。
(2)申請日現在において、労働協約または就業規則における内容が、育児・介護休業法を順守できていない場合には、助成金が支給されないことがあります。特に育児・介護休業法の改正が10年6月30日より施行されるためご注意ください。
(3)就業規則は、常時使用する労働者が10人未満の場合、労働基準監督署への届け出は必要ありませんが、その就業規則が従業員に周知されていることを証明する書類(回覧の記録等)を提出しなければなりません。

注1:「常時使用する労働者」とは、2カ月を超えて使用される者であり、かつ週当たりの所定労働時間が当該企業の通常の労働者とおおむね同等である者をいいます。

注2:「一般事業主行動計画」とは、次世代育成支援対策推進法第12条に基づくもので、「子育てを行う労働者等の職業生活と家庭生活との両立を支援するための雇用環境」「働き方の見直しに資する多様な労働条件」等を整備するために策定する計画です。



■2010年3月時点の法令を基に回答しています

朝比奈睦明(あさひな・むつあき)
東京都社会保険労務士会所属。1990年日本大学文理学部卒業。社会保険労務士事務所勤務を経て、2000年4月に社会保険労務士朝比奈事務所を開設。 主な業務分野は、賃金・評価制度等人事諸制度の構築、就業規則作成、社会保険事務アウトソーシング等。著書に「図解 労働・社会保険の書式・手続完全マニュアル」(共著)。


(東洋経済HRオンライン編集部)

人事・労務が企業を変える 東洋経済HRオンライン

 

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