タコが全身を使い感情を表せるという驚愕事実

知性を持っているという研究結果が明らかに

生物学的には人間の祖先にあたるようなのです(イラスト:ジョウモン / PIXTA)
正月料理に欠かせない「タコ」。古くから日本では食材として好まれ、またそのユニークな造形から、マンガやアニメなどでキャラクター化され親しまれてきた。そんなタコが、実は高度な知性をもっているという。琉球大学教授でタコやイカなどの頭足類研究者の池田譲氏の著書『タコの知性 その感覚と思考』によると、タコには感情があり、それを現す表情をもつことを示唆する研究結果が報告されている。同書より一部を抜粋し紹介する。

まずい食事に異を唱えたタコ

オオマルモンダコはヒョウモンダコと同じく猛毒をもった小型のタコである。ヒョウモンダコと同じように体表にリング模様が配置されている。これは周囲に自身が危険生物であることを告げる警告色の1つと考えられるが、ヒョウモンダコのリングに比べると1つひとつが大きく、大丸紋蛸という名をもつ。オオマルモンダコ自体、いつでもどこでも目にするというわけではないが、その幼体となるとことさら珍しい。

オオマルモンダコ

折角のヒョウモンダコの幼体。私は、その名の由来となっている体表のリング模様が、いつから現れるのか追跡することを研究室の学生に勧めた。最初からリング模様がくっきり現れているわけではなく、どうやら個体発生の過程で出現すると思われたからだ。

その飼育の過程での出来事。水槽に餌を投下すると、オオマルモンダコの幼体は水槽の底に置いた巣から現れ、餌を捕捉すると巣に戻り食事をした。餌は冷凍のサクラエビの欠片である。これを解凍して与える。

その日は餌の解凍がやや不十分だったが、いつも通りにピンセットでつまんで水槽に投下した。これもいつも通りにオオマルモンダコの幼体が巣から出てきて、餌を捕捉し、また巣の近くへと戻っていた。

しかし、突然、幼体は巣の近くから上昇し、水面近くまで戻ってきた。そして、先ほど捕捉したサクラエビの欠片を水面の向こうに立っている実験者(研究室の学生)に向けて水中で投げつけたのである。それに続き、八本の腕をバフバフと開閉した。腕を広げた際には口が見える。むしろ口を見せるような行為だ。

また、この腕の開閉の際には、体表のリング模様をギラギラと点滅させていた。いつもと違う、半解凍のまずい食事が饗されたことに、オオマルモンダコの幼体は明らかに憤慨したのだ。

「なにこれ!? こんなもの、食べられるか!! もう怒ったぞー」とでもいう感じか。見ている側にそのように感じさせるオオマルモンダコの行動であった。

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