移民700人放置「トランプの壁」が招いた惨状 今も親と連絡が取れない子どもが666人いる
アメリカ最南部ブラウンズビルから12月2日、橋を渡ってメキシコ北部マタモロスに入ると、国境施設のフェンス際までびっしりと、破れたビニールシートがかけられたテントが並んでいた。
エルサルバドルやグアテマラなどの中米、キューバやハイチなどのカリブ海諸国。有刺鉄線のフェンスで囲われた公園の敷地内に、アメリカに難民申請した世界中の移民約700人が暮らす。目立つのが子どもたちの姿だ。半数近い約300人を占め、うち約20人はこの地で生まれた。妊婦も約50人いるという。
キャンプ暮らしが1年を超えた女性
グアテマラ北部サンタエレナから来た農業イメルダ・メドラノ(29)は、キャンプ暮らしが1年を超えた。
軍に「国の土地だ」と言われて集落を追われた。「木材がお金になるからだと思います」。先に逃れた夫(49)と次女(6)は米当局に難民申請が受理されてニューヨークで審理を待っているが、長女(11)を連れて3カ月後に追った彼女は、審理を「メキシコで待て」と告げられた。その審理もコロナ禍で2月を最後に開かれていない。
2人用のテントにマットレスを敷いて寝ているが、眠れない日々が続く。
「長女は友達がいなくて、人と話す機会がほとんどありません。明日は12歳の誕生日なんですが、何も予定はないですし・・。ここでいつまで待てばいいのか考えていると、絶望的な気持ちになるんです」
この異形の集落ができた発端は、トランプ政権が2019年1月に導入した「移民保護手続き」だった。
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