新型「N-ONE」乗って確かめた進化の本気度 クロスレシオの6速MTはまるでスポーツカー

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見た目はほぼ変えていなくても中身は一新。試乗してみれば、その意味が非常によくわかった。だが、実際に新型を開発するうえで、外観デザインを変えないということは、販売戦略上でいえば、かなりの冒険のようにも思える。例えば、営業サイドなどからの反対はなかったのだろうか。

その点について、N-ONEの開発責任者である本田技研工業の宮本 渉氏は、「(デザインを変えない方向性に対し)反対は全体の約2割で、8割近くが賛成してくれました」という。実際にクルマを売る販売部門からの賛成も多かった外観のキープデザイン。

これは、名車N360を元祖とする先代N-ONEのスタイルが、すでに市場で十分に認知や評価を受けている証しだろう。フルモデルチェンジのために変更はせず、評価されているものはあえて変えない……そんな勇気が新型N-ONEを生み出したのだ。

N-BOXがあるからN-ONEはキープデザインができた

もっとも、宮本氏は「N-ONEだからできた」とも語る。これは、N-ONEの月間販売計画台数が2000台と、N-BOXの約10分の1だからこそ思い切れたということだ。Nシリーズでまとめて語られてしまいがちだが、Nシリーズのアイコンとして販売台数にとらわれず、ホンダが理想を求めて造った軽自動車がN-ONE。それができるのも売れ筋のN-BOX、そしてN-WGNやN-VANがあり、それぞれのキャラクターが確立されているからだろう。

フルモデルチェンジを経ても、ひと目で「N-ONE」とわかるデザインが魅力(筆者撮影)

外観のコンセプトをあまり変えず、長く販売している小型車には、例えば「フィアット500」や「ミニ」など、欧州車には数多いが、国産車ではあまり例を見ない。N-ONEが、それら欧州車のような、伝統がある日本の「ベーシックカー」として末永くクルマを愛する人たちに支持を受けるか、今後の動向が興味深い。

なお、価格(税込)は、Originalが159万9400円~173万2500円、RSがCVT仕様と6速MT仕様ともに199万9800円。本革ステアリングなどを装備した上級グレードで、NAエンジン搭載のPremium(プレミアム)が177万9800円~191万2900円、ターボエンジン搭載のPremium Tourer(プレミアムツアラー)が188万9800円~202万2900円となっている。

平塚 直樹 ライター&エディター

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ひらつか なおき / Naoki Hiratsuka

1965年、福岡県生まれ。福岡大学法学部卒業。自動車系出版社3社を渡り歩き、バイク、自動車、バス釣りなどの専門雑誌やウェブメディアの編集者を経てフリーランスに。生粋の文系ながら、近年は自動運転や自動車部品、ITなど、テクノロジー分野の取材・執筆にも挑戦。ほかにも、キャンピングカーや福祉車両など、4輪・2輪の幅広い分野の記事を手掛ける。知らない事も「聞けば分かる」の精神で、一般人目線の「分かりやすい文章」を信条に日々奮闘中。バイクと猫好き。

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